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歯科のヒアルロン酸注入はすべて「違法」

[ 2013/8/30 ]
「口腔内」からアプローチも歯科診療の範囲外

JAAS理事会が決定
「認められるのは唇のみ」との見解


本紙109号で報告した「歯科診療におけるヒアルロン酸注入の是非」について、この程JAASの理事会は弁護士を介して厚労省に見解を求めた回答に沿って、弁護士がまとめた意見書を、正式な見解として会員向けに発表することになった。JAASの見解は歯科医業における治療範囲として認められるのは「唇のみ」とした厚労省の担当技官(歯科医)の解釈を会の最終的な見解とすることを決定した。かねてから医科・歯科間で議論があった、口唇周辺のヒアルロン酸治療を歯科医が行うことは、違法であるとする結論に至った。

また、口腔外科の診療領域とする口腔内(口角から刺針し口腔内からヒアルロン酸を注入)からのほうれい線などの治療を行う行為についても、歯科診療では「違法」とする解釈を採用することにした。これによって、「唇」部位に対する美容目的のヒアルロン酸注入以外は、すべての部位、いかなる手技であっても歯科医による治療は許されない。こうしたことから今後、同会が主宰するヒアルロン酸注入術をテーマにしたトレーニング講習の受講対象から歯科医は除外される(唇の注入術に関してはこの限りではない)。

周知のとおり、歯科医院経営は、二極化すなわち成功している歯科医院とそうでない歯科医院の状態が明確になり、歯科医師なら誰でも社会的な成功を収めるという旧来のスタイルが通用しなくなった。さらに、国は財政状態の悪化から健康保険制度における国の負担を圧縮、削減し、歯科においては診療報酬のマイナス改定とレセプトの審査強化、高点数指導の導入・強化していることから、もはや保険診療だけでは医院の経営、運営は成り立たない。とりわけ歯科医を苦しめている「高点数指導」によって、保険請求に関して集団もしくは個別に国からの指導・監査が厳しさを増している。

こうした中、数年前から歯科診療の新たな治療範囲として、ヒアルロン酸注入によるしわやたるみ、張りを改善する診療術が投げかけられ、多くの歯科医がこぞってこの施術を学び、導入し始めていることは周知のとおりだ。そして歯科経営改善の打開策として「起死回生の治療スキル」は瞬く間に、広がる。JHM109号既報のとおり、先ごろ医師法に精通する弁護士を介して、厚労省の担当技官(歯科医)に、施術の核心ともいえる医科、歯科を巡る「治療範囲」について説明を求めたところ、歯科医が行う口唇周辺のヒアルロン酸治療は違法であるとの見解を得た。担当技官からは「認められるのは唇のみ」として、かねてから議論のあった口唇周辺はクロとなる。
「唇」部位に対して美容目的での施術であっても、歯科医に許されている歯科医業の範囲であれば歯科医師としては禁止されない、としている。ここでいう範囲は、平成8年「歯科口腔外科に関する検討会」で明文化された口腔外科の診療領域に限られることはいうまでもない。つまりほうれん線(鼻唇溝)など口唇周辺は口腔領域を超えるものと解釈された。

JAASでは先述の弁護士からの正式な意見書を受け、歯科医業における治療範囲として認められるのは「唇のみ」とした厚労省の担当技官(歯科医)の解釈を会の最終的な見解とすることを決定した。かねてから医科・歯科間で議論があった、口唇周辺のヒアルロン酸治療を歯科医が行うことは、違法であるとする結論に至った。
また、口腔外科の診療領域とする口腔内(口角から刺針し口腔内からヒアルロン酸を注入)からのほうれい線などの治療を行う行為については、解釈が分かれるところでもあったが、口角から刺針し口腔内の内側からヒアルロン酸を注入しほうれい線の治療を行う行為を認められない。歯科医の行為はやはり「違法」という解釈に準ずることで理事会はまとまった。

解釈の根拠となったのは「ヒアルロン酸注射をほうれい線に実施する一つの手法として口腔内部から行ったとしても歯科口腔外科領域外の美容効果を求める治療行為は、脱法的な方法であるといわざるを得ない」とした、医師と歯科医師との職務範囲から線引きされた分水嶺を引き合いに出している。
ここでいう歯科口腔外科の診療領域は、口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底、軟口蓋、顎骨、耳下腺を除く唾液腺とされ、「たとえ口腔内からのヒアルロン酸注射であっても診療領域にほうれい線は含まれない」とする明確な根拠を示す。

歯科医がヒアルロン酸注入の研修を受け、自らのデンタルクリニックでヒアルロン酸注射を導入し、実際に治療した患者が、ネクローシスを起こす医療クレームが過去、たびたび発生。問題を重くみた美容形成側からは「歯科医の治療範囲として違法である」として、歯科が口唇周辺へのヒアルロン酸注入することに警鐘を鳴らした。
異論が出たのは、施術の核心ともいえる医科、歯科を巡る「治療範囲」だけではない。歯科医による歯科医への技術講習だけでは、十分な知識とスキルを取得できないばかりか、ネクローシスなどの有害事象に対して、歯科では対処ができないことを挙げる。また顔面解剖など、口腔内以外の解剖教育を歯学部では受けていないことも問題視されてきた。

とりわけ大手美容外科系のデンタル部門や、フィラー製剤の供給業者とタイアップしたセミナー請負会社などが、次々とセミナーを開催し、こうした問題を少なからず助長してきたことは否めない。
JAASでも昨年秋から、日本医師免許も取得するLim Jong hak医師(Kairos Aetethec Clinic院長)を招き、その分水嶺に意見がわかれてきた口角から刺針して口腔内からヒアルロン酸を注入するライブ講習会を医科、歯科医向けに開催してきた。このスキル、日本の形成外科医でも知らない人が少なくない。まして歯科医が術式を知るすべもない。
しかし、今回の理事会の決定を受け、今後こうしたライブ講習会では、歯科医を受講対象から除外することになる。



(JHM112号より)
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