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美容医療ホームページ規制強化へ

[ 2016/5/17 ]
厚労省は、美容医療のホームページ(HP)に寄せられる苦情や相談が多発しているとして、医療機関のHPを医療法による規制対象とする検討を始めることになった。2016年3月下旬に「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」を立ち上げて、今秋をめどに規制策に関する結論をまとめる。



3月4日朝のぶら下がり会見にて、塩崎厚労相は記者との質疑にこう回答している。 (記者)「医療機関のホームページのガイドラインについて、特に美容医療のホームページでトラブルが寄せられているということですが、河野消費者担当大臣も先週会見で、とりわけビフォアーアフターの写真などの問題について触れられました。厚労相として美容広告の規制の検討会などを立ち上げる予定はありますか?」 (大臣)「今まで厚労省の方針として、医療機関のホームページについては医療法で規制する広告とは原則みなしてこなかった。しかし、消費者委員会から、昨年、美容医療サービスにかかる消費者被害の増加を踏まえて、医療機関のホームページを医療法上の広告に含めて、規制の対象にすべきではないのかということで、それを求める建議がなされたところです。これを受けて、わが省として今月下旬に『医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会』を立ち上げて、ホームページの適切なあり方についても検討を開始しようと思っています。ガイドラインについては、その検討を踏まえて必要に応じた対応をしていかなければならないと考えている」 消費者委員会の調査によると、美容医療に関連する苦情や相談は2011年度の約1600件から2014年には2600件と1.5倍程度にまで増えており、同委員会は厚労省に対応を求めていた。 本紙でも、医療法による広告規制については幾たびか報道してきたきたが、今回の内容が今までと大きく異なる点は、医療機関のホームページそのものもが医療法の対象、つまり広告とみなされる動きが出てきている点だ。2012年、翌2013年に制定された「医療機関ホームページガイドライン」規制ではインターネット広告が規制対象となり、ネット広告経由でのリンク先にはキャンペーン価格表示や未承認薬剤の掲載、虚偽の症例写真・体験談等の掲載が禁止となった。ただし、広告にリンクしていないクリニックのホームページに関してはこれらの掲載が可能となったため、現在も多くの医療機関がキャンペーンや症例写真等を掲載しているのが現状だ。 なお、塩崎厚労相が述べた会見の同日午後、フジテレビ系列の番組「みんなのニュース」にて、河野太郎国家公安委員長が(大手美容施設を名指しで)美容クリニックのホームページに掲載されたビフォーアフター(症例)写真が誇大広告にあたるのではないかと指摘。これに対して大手美容クリニックが取材を受けて現状について調査・回答をするなど、まさにここ数日で、美容医療のホームページへ対する動きが活発化してきていると言えるだろう。 一方、「ホームページのキャンペーン価格を見て治療をしたものの、実際の支払金額が異なっていた」「十分に検討する時間がないまま治療の有無を判断させられた」「ホームページ上に効果や安全性が誇張されて記載されている」といった苦情が国民生活センター)に寄せられ、3年前よりも1.5倍の2600件程度にまで増えている。 医療広告ガイドラインによってインターネット上の広告はさらに規制強化される方向にあるが、とはいえ集患を強化せざるを得ないのはどのクリニックも一緒だ。しかし、現在規制の対象外であるクリニックのホームページについては、集患のために書きたいこと・言いたいことを過剰に露出、掲載しているクリニックも少なくない。 美容医療業界における苦情・相談数の増加は、ホームページの記載内容に限らず、来院後のカウンセリングや診察時の副作用やデメリットの説明不足や、実際の治療における医師の技術不足など多岐にわたっていることは先述のとおりだ。 新規クリニックの開院ラッシュは今も続いており、医師の相応の技術や患者本位のカウンセリングを誠意をもって行うクリニックは多い。しかし中には医療機関として最低限必要な対応力・技術力が本当にあるのか甚だ疑問を持つようなところもあるのは否めない。  利益優先のため誇大、虚偽広告をしてまで集患する一部の美容クリニックによって、真摯に誠実にそして確かなスキルをもって治療を行う多くの美容医療業界まで「表現の自由」を奪われることへの歯がゆさを本紙は禁じ得ない。 本紙そしてJAASがこれらの課題に対して取り組んでいくことはいうまでもないが、山本美容整形塾などのライブ講習会を通じて「スキルアップ」「医療クレーム回避のための技術の研さんと法務対策」をさらに継続していくことこそ、業界のレベルアップになることは間違いない。 過剰な広告への投資から、これからの美容医療の経営資源は「医師の技量」であることを自覚して、投資先を「スキル向上」ために転換していくことを提言してやまない。
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