本稿ではメディカルユースで重視される要素を備えたサプリメントをシリーズで紹介していきたい。その基準となるポイントは、医療で活用できる有効性、安全性を担保できるエビデンスはもちろん、医療機関で扱うからこそ「体感」が重視される商材だ。シリーズ２回目は４アイテムについてまとめてみた。

医療機関向けのサプリメントの取り扱いが増えている。実際に各社に取材を行ったところ、その需要は増え以前よりも取引数が増加しているという声が多く聞かれた。様々なサプリメントがあるが、一般商品よりも高濃度の成分を配合したり特許取得成分を配合するなど、他にはない差別化を図った商品が注目されている。 サプリメント製造・販売を行うヘルスエイジでは、医療機関・専門施設向けとして新たに低分子ライチポリフェノールのオリゴノールを使ったサプリメント「ASSISTMIN オリゴノールR」の本格販売を開始した。 通常のブドウ種子やライチから抽出した成分は生体に吸収されにくい高分子である点がネックであったが、同社が使用しているアミノアップ化学が製造するオリゴノールRでは世界初の特許製法によって低分子化したライチポリフェノールを使用しており、有効成分が通常の２～８倍程度含有されている。なおオリゴノールRは株式会社アミノアップ化学が登録商標をしている。 オリゴノールRは、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座においてメタボリックシンドロームに対する予防効果の検証がなされてきたが、その後の様々な研究によって、メタボ対策だけではなく様々な抗老化・美容効果があると解明されている。具体的には、血流改善、血管拡張作用、疲労回復、耐久性向上、さらに美容面では色素沈着改善、抗しわ作用、紫外線による炎症抑制作用などで、あらゆる面で抗酸化を抑制する作用がある。 さらに同成分は体感性にも優れており、血流改善においては服用後３０分程度で効果を実感するケースが多いという。 これらのデータは筑波大学と共同で調査を行っておりその効果には裏付けがある。その他、大学の陸上選手３８名における調査の結果、無酸素性作業閾値が１６ポイント改善するなど末梢組織への酸素供給改善、持久力向上にも効果的であることが分かっている。今年から積極的に医療機関への販売を強化するという同社の商品は、脂肪燃焼効果や美肌効果もあるためすでに婦人科や整形外科、美容内科などにも注目されている。 クリニック専売の化粧品「エムディア」の企画・製造をするメイフラワーでは、昨年１０月に水素発生パウダーを含有したサプリメント「ハイドロフォースプラス」をリリースした。 同商品では水分に触れると膨大な水素を発生する成分「マイクロクラスター」を高濃度で含有しており、コラーゲン劣化防御、メラニン生成抑制など様々な抗酸化作用が期待される成分だ。同成分は専門の調査機関で調べた結果、水素吸蔵サンゴ末と比較すると１ｇあたりの水素ガス発生量に２万倍程度の差があることがわかっている。また様々な美白成分で比較したDPPHラジカル残存率調査（添加濃度10ppmで測定）では、マイクロクラスターは８７％のDPPHラジカルを除去することを可能としたが、その他の美白成分として有名なアルブチンが９％、トラネキサム酸が３３％、ハイドロキノンでも７２％と、DPPHラジカルの除去率についてもマイクロクラスターが優位な値を示した。 同商品では、腸内で溶けるカプセルを採用することで腸内環境も整えることができ便秘改善、整腸作用もあるという報告も医療現場から多く挙がっているという。同社では水素サプリメントの他、水素発生パウダー「マイクロクラスター」を配合した美容オイルも製造卸をしており、特に女性医師がいるクリニックで好評を得ているという。 鯉油と鯉エキス濃縮液をブレンドしたサプリメント「鯉油Super」は、ＥＰＡやＤＨＡとあわせてオレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸も含んでおり、その強い抗酸化力によって活性酸素除去、免疫力向上の他、妊娠前後の体調不良に効果があると言われている。 鯉は１０種の脂肪酸と１８種のアミノ酸をはじめとした様々な有効成分を含んでおり、古来より滋養強壮の特効薬として重宝されてきた。日本では産後の母乳不足の改善、乳腺炎、乳房の腫瘍の予防、肺炎、喘息、むくみ、利尿、肝機能向上などに、また中国では漢方薬の重要な文献である「本草綱目」に妊娠時の水腫、悪寒、乳汁不足、胎動の異常に効果があると記されている。 「鯉油super」は鳥取県気高郡鹿野町で独自で養殖している鯉から採取したエキスを使用しており、３０年以上に渡って受け継がれた伝統的手法によって製造されている。その効果は大学等でも検証されており、京都薬科大生薬学教室の臨床試験によると、鯉エキスにはマクロファージ活性化作用が、また鯉油には血糖値上昇抑制作用が確認されている。滋養強壮というイメージが強い鯉サプリだが、ここ数年は結婚や産後のストレスで悩む女性の愛用者も増えており、販売元のカルプでは現在、産後の冷えやストレスに悩む女性向けに新商品も開発予定だという。 アガリクス・ブラゼイ（ヒメマツタケ）菌糸体製品の「イムノマイセリア」は、予防医療に力を入れている若松河田クリニックなどで導入されている。ヒメマツタケはブラジルでは「神のキノコ」と言われており、エストロゲン様作用があることからガン、感染症、糖尿病の予防効果があると解明されている。同商品は、キノコになる前の菌糸体部分を使用しており、中でも特に放線菌などからも抽出されるブレフェルディンＡという物質が強いエストロゲン様作用を持っており、高い抗ウイルス作用、抗ガン作用、抗動脈硬化作用を持っていることが分かっている。 ５０年前に発見されたこの抗生物質ブレフェルディンＡについては、小胞体からゴルジ体へのタンパク質輸送を特異的かつ可逆的に阻害するなど、すでに３０００以上の様々な論文が出ている。同クリニックでは、狭心症患者では４カ月の服用後に酸化LDLの血中量が８０％ほど減少した症例の他、動脈硬化、膵癌患者の症状改善や乳がん増殖の抑制等の効果が出ている。現在は毎月１００人以上が購入しており、症状改善のためにリピート利用している患者が多いという。