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美容医こそサプリメントを扱うべき(JHM第1回対談)

[ 2016/4/17 ]
「医療機関において、患者のために医療提供又は療養の向上の一環としてコンタクトレンズ等の医療機器やサプリメント等の食品の販売が可能であることを明確化する」とした通知が、2014年厚労省医政局から各都道府県の保健所医療担当部、都道府県医師会に宛に出され、周知徹底が図られた。すでにその二ヶ月前、政府の規制改革会議の健康・医療ワーキンググループが「医療法人の業務範囲の自由度を高めることを目的」にし、厚生労働省からもコンタクトレンズやサプリメントなどを患者に提供することは医療法の「附随業務」に該当するという見解が示された経緯があったことはいうまでもない。この答申を受け、安倍政権が閣議決定し通知へと進むが、そもそもこの背景には、医療機関の業務範囲を広げ、収益源を多様化させ、政府の成長戦略が掲げる「健康長寿社会実現」の一環として、患者の疾患予防ニーズに医療機関も応えられるようにする狙いがある。一方で28年度中医協から厚労相に答申された診療報酬は「かかりつけ」では報酬点数の増額を図りつつも、実質的にはマイナス改定となり、保険診療の医療サービスのあり方を根本的に変えていかざるをえない。こうした中でのサプリメントなどの販売が解禁に動くことで予防ニーズに医療機関が積極的に関わり、医療費の抑制を促すことに他ならない。いずれにしても、経営基盤の見直しを迫られる保険診療クリニックに対して、より自由度の高い診療と多様な収益源を確保できるその一つが今回の通知とみていい。そこで本対談ではこうした背景のもと、治療の中でサプリメントを積極的に導入するアンチエイジング内科(平畑 徹幸医師 UDXヒラハタクリニック)、皮膚科(脇田 加恵医師スキン・ソリューション・クリニック)のドクターに、ご意見をお伺いした。

本紙 「医療でのサプリメント販売の解禁」が日本では正式に始まりました。しかし、まだまだアメリカでのようにサプリメントを含む統合医療の研究推進や臨床医による積極的なサプリメントの活用などは道半ばといった感があります。先駆けて治療にサプリメントを導入されてきた先生方ですが、この現状についてご意見をお聞かせください。
平畑 日本でまだ栄養療法やアンチエイジング医療がささやかれはじめたころに私は、アメリカに飛び、認定医も取得しホルモン補充療法そしてサプリメンテーションの知識と実学を研修し日本でいち早く臨床に応用しました。
脇田 私自身はどちらかというとサプリメントに対して否定的でした。しかし医師である自らの体調の異変から、どちらかというと「疾病」に対する対症療法に重点を置いた通常医療の限界を知り、「疾病の原因」を見出し治療あるいは予防をしていく分子整合栄養療法オーソモレキュラーへと目を向け学び、そして診療に応用していくようになりました。
本紙 認定医とはアメリカのA4M(米国抗加齢学会)ですよね?
平畑 はい。世界の抗加齢医学の先陣を切ったアカデミーですでにその当時、今では当たり前のように聞かれる「抗酸化」という概念と臨床研究、発表が始まっていた。当時の私には衝撃でした。そして新たな医療を模索するきっかけになったことを記憶しています。
本紙 今のクリニック開設に至る出会いだった?
平畑 9年前、当時渋谷で開業していた内科クリニックに加え現在のUDXヒラハタクリニックを開設しました。アンチエイジング診療はもちろんですが、さらにその先の最先端医療であるがん遺伝子診断、遺伝子治療を行うクリニック、専任スタッフもおき専用のラボで診断そしてがん抑制遺伝子をいれた培養細胞ルームも完備しています。手前みそですが国内最高レベルと自負しています。

本紙 お二人からみて、なぜ?医療でのサプリメントの普及がなかなか進まないのでしょうか?
平畑 もちろん日米の医療制度に違いがあることは言うまでもありません。臨床医がサプリメントを患者さんに勧めることはアメリカでは当たり前のことで、日本では白い眼でみられることが多いMLMビジネスに医師が関与するケースも少なくない。MLMで扱われる天然成分を使ったサプリは非常に良質なものが多く、なおかつ日本では薬事法上許されていない「キレート」型のナチュラルビタミン、ミネラルを使っています。
本紙 キレート化によって吸収性を促進します。
平畑 そのとおりです。合成ビタミンをいくら摂取してもそのほとんどが尿から排泄され吸収性の点で疑問符がつく。アメリカのニュースキンがMLMのみに流通させている「ライフパック」はある意味この種のサプリメントの中では推奨できるものでしょう。もちろん私自身ディストリビューターではありませんが。
本紙 制度の違いそして薬事法の規制から生じるサプリメント製品の優劣が、アメリカのように医療で普及しない理由なんですね
脇田 先述のとおり私は自らの病いを通じて栄養療法の必要性を痛感しました。そして発症メカニズムが複雑である疾病とりわけ慢性疾患に対して、分子整合栄養療法という新しいアプローチによって生化学検査データを従来の見方ではない見立てで栄養解析していく。それで明らかになる栄養素をサプリメントという形で補っていくわけです。従ってさらに医療でサプリメントが普及していくには、医師自身がもっと勉強していくこと。それが医療機関でしか検査、カウンセリングそしてサプリメントの処方を提供できる差別化につながるのではと考えます。もちろん私もまだ勉強途上であることは変わりません。
平畑 分子整合栄養療法は「分子矯正医学」のことですよね?
脇田 はいそのとおりです。ライナスポーリング博士が提唱した新しい栄養医学が基礎になっています。一例をあげると、肝機能の指標GOT,GPTの値が一般的には上昇していれば肝臓機能に問題ありと診断されますが、分子整合栄養療法では、値が下がったりあるいは、GOTとGPTの値に差がある場合は、ビタミンB6が足りない、と診断し、B6を補う。こうしたさまざまな血液数値の見方にこの療法の特長があります。
平畑 なるほど。私がやっている遺伝子診断でも他には類のないマルチプレックスPCR法によって120種類のがん関連遺伝子の異常をみつけます。実際、見立て一つでこの遺伝子診断は違っていく。場合によっては医師が関与せず無責任な診断をされたばかりに弊院に駆け込まれ、がんの進行が進んでいたという患者さんもいます。先生のおっしゃるとおり、サプリメント普及には、まずは処方前の診断学をドクターが自ら勉強していかねければなりません。
本紙 統合医療に関する厚労省の特定研究の中で「日本のがん臨床医の統合医療、代替補完医療に対する認識と実践」について統計調査がAmerican Canacer Societyに投稿されています。その中で、サプリメントに対する知識を有しているのはわずかであること。そして興味深いのは、内科の医師より腫瘍外科医の方がサプリメントを含めた代替医療を患者さんに推奨していることです。
平畑 がん治療において手術を行う外科医は、予後の栄養管理などを勉強せざるをえません。そのため理解が進んでいるのでしょう。
脇田 内科や皮膚科もこれからもっと理解が進むといいですね。
本紙 脇田先生は一般皮膚科と美容皮膚科をおやりになっていますが、サプリメントをどのようなものを扱われていますか?
脇田 栄養解析の後に勧めているのは足りない栄養素ですが、患者さんによってはサプリメントを市販のもので摂取されるケースもあります。ただ医療機関でしか処方できないホルモン系はアメリカの医師が処方したMed Quest Pharmacy社のナチュラルホルモンサプリメントを提供しています。DHEA、甲状腺ホルモン、エストロゲン、テストステロン、プロゲステロンなどです。
平畑 私のところももっぱらアメリカから、医療機関専用の処方をしたサプリメントを提供しています。抗加齢医学を学び認定医を取得した後、ホルモン補充療法では著名なアメリカのニール・ルージエ医師のもとで研修を受け、サプリメントもまたルージエ先生に処方をお願いしています。
脇田 Med社製品も同じルージエ先生処方です。
平畑 弊院でのホルモン補充療法では必ず遺伝子診断をしてもらいます。中にはDNA検査をせずホルモンセラピーを行っている施設もあるようですが非常に危険です。
脇田 私どもも遺伝子検査はお勧めしています。ただ平畑先生のところのように精査できるチェックではなくスクリーンニング的な検査です。注射によるホルモン補充療法ではなくサプリメンテーションに留めているためです。
本紙 さて脇田先生のクリニックの経営数値の中でサプリメントはどの程度?
脇田 5~10%くらいでしょうか。バラつきはありますが毎日40~80人の来院で人数としては保険と自費が1:1ですが収入は3:7と自費部門が高い。とくに美容皮膚診療の中でサプリメントあるいは化粧品を院内販売しています。
本紙 今回アンケートを実施(本紙4~5面掲載)しましたが、10%という割合は高いほうです。
脇田 生き残りのために必死です(笑)。競合が激しい都心の中で皮膚科・美容皮膚科をかかげて12年目になりますが自費部門の充実を図ってきました。
本紙 一般的に地方に限っていえば皮膚科の損益分岐は一日100人以上といわれます。それに比べれば多い方ではありません。
脇田 幣クリニックでは広告は一切やりません。周辺そして全国から口コミで来院していただきリピーターが多いのが幸いです。患者さんとの信頼関係をいかにつくっていくか?開院依頼の、モットーです。そしてその信頼関係から、サプリメント、化粧品などを勧めており皆さん喜んで購入してくれるんです。
平畑 そうした関係づくりは男性の医師には真似できません。
脇田 たぶん女性の共通の生活感みたいなものが患者(女性)さんとの距離を狭めているのではないでしょうか?女性あるいは主婦がひと月に使うお財布の中のお金は決まっていて、必ず買うものがあります。それが化粧品だったり。結構サプリメントを購入している人も少なくありません。それで診察、治療の合間にほんのちょっと勧めてあげると「お財布の範囲」で購入されるんです。よほど高いものでなければ医療機関で扱う化粧品、サプリは信用されます。
本紙 なるほど。
脇田 もちろんお財布の中の現金でなくてもカード決済でクリニックはできますから、ご本人も明細を後でみれば納得して買い続けてくれます。
平畑 女医さんとしてのお立場はもちろんですが、何より脇田先生ファンを地道に広げているからでしょうね。患者さんはクリニックではなく、所詮ドクターに付いていきますから。
脇田 私はあくまでも皮膚科、美容皮膚科医なので侵襲性の高い美容形成はやりません。フィラー系や糸リフトなどで、たとえばリフトアップの施術の後に「コラーゲン、タンパクアミノ酸、鉄そしてビタミンを勧めています。
本紙 創傷の際、コラーゲンが造成してリカバーしていくことはよく言われています。
脇田 美容医こそサプリメントを扱い、患者さんにもっと勧めていった方がいいのでは。切開系での美容外科手術は一回オペをやればその後の来院のタイムラグは大きい。しかし美容皮膚科であればリピーターになる患者さんも多く来院の頻度は高いわけでその際に無理のない推奨でサプリメントを販売することは重要だと思います
本紙 最後に医療でサプリメントを扱い販売していく上でポイントになることをお教えください。
平畑 エビデンスそして安全性の担保、なにより重要なことは医療専売品であることでしょう。
脇田 製品の差別化はもちろんですが、患者さんとの信頼関係を深めてサプリメントの知識を熟知したうえで、患者さんに最も適切なサプリメントを推奨し提供していくことだと思います。
本紙 本日はお忙しいところ誠にありがとうございました。
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