JAASアカデミー
TEL
お問い合わせ
一般社団法人 JAAS日本アンチエイジング外科学会

JAASアカデミー

一般社団法人 JAAS日本アンチエイジング外科学会

TEL

お問い合わせ

2015年美容医療その一 悲観論編

[ 2015/3/17 ]

美容医療マーケットは今年も順調に推移すると本紙では予想する。その根拠には何よりも需要層のすそ野の広がりがあり、いまや若年層よりむしろシニアさらには60歳以上の元気なシルバー層へと患者の年齢幅が広がっているといっていい。かつての「美容整形・美容外科」時代から「美容アンチエイジング」市場へと変わりつつあるマーケットニーズの転換期を迎えている。

受診動機の多くが、コンプレックスからより「若返り」「自然美」へと移り変わってきたからだ。しかしそんな楽観的な市場予測にも落とし穴は潜む。一般医療とは違い、美容治療では医師と患者との委任契約に近い関係性をもつため、説明義務を医師側が怠れば、患者(消費者)からのクレームを抱えることになる。昨年大々的にマスコミに報じられた大手美容クリニックに対する損害賠償を求める「集団訴訟」はその例にもれない。また、ネット広告の規制がさらに強まる傾向にあり、集患対策は美容医療業界にとっては喫緊の課題といえよう。本稿では2回にわたり、2015年の美容医療のゆくえを総論的に述べてみたい。

 改めて本紙1面の記事を読み返していただきたい。東京都消費生活総合センターが受ける美容医療での相談、苦情内容で最も多いのが「施術不良」だ。「集団訴訟」に至った患者側の心情には「勧誘がしつこい」「相談したものと違い治療を受けた」とする背景があり、そうした憤りを招いた原因は明らかに結果に満足しなかったことがあげられる。
 つまり、消費者からのクレームに対して丁寧なカウンセリングやインフォームドコンセントが求められることはいうまでもないが、あくまで医師側の治療技術の習熟度が必要条件でなければならない。

 マーケット需要の拡大に伴い、他科診療から美容医療に転身あるいは併設部門として美容医療を開設するクリニックや病院も増えている。平成24年統計によれば全医師288、850人のうち美容外科医は0.2%にしか満たないが、全診療科目の中で過去4年間最も増加している。

また低侵襲の施術や美容医療機器などに特化したいわゆる美容皮膚科医は、患者数の増加に伴い(2002年~2005年の年間で2.8倍に)、軒並み増えている。
こうしたなか、医療施設としては、需要が伸びれば自ずと供給体制を整えざるを得ず勢い医師の増員へと向かう。しかし中には見よう見真似で美容医療を始め、確かなスキルの上達がない中、〟実地訓練〟を受けてしまうケースさえあるようだ。その結果、引き起こされるのは患者からのクレームであることは想像にかたくない。

本紙では幾たびか触れてきたがJAASアカデミーによる美容整形、美容医療のスキルアップに受講するドクターの水嵩が増しているのは、こうした背景があるのかもしれない。
市場の展望にしては冒頭から、悲観論がつづいてしまうことをお許し願いたい。
美容医療のネット広告規制も強まっている。検索大手Googleでは、クリニックの広告で違反事例をチェックしながら、グレーであってもガイドラインに従って、検索順位を下位にさげる傾向にある。

美容医療など自費診療を行うクリニックにとってネットでの集患は生命線であるだけに、クリニック側ではやむを得ず自前のホームページを規制ガイドラインに従って修正する動きが加速している。美容医療の集客にとって今年は「我慢の年」になるだろうか。
さて、本紙が投げかけたい2015年の美容医療の明るい展望については、次回いくつかのモデルケースを出しながら、高まる需要と市場拡大へのヒントを探りたい。(つづく)


(JHM125号より)

Copyright (C) JAAS ACADEMY. All rights reserved.