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市販品脱毛レーザーは野放し「何故?」

[ 2015/1/30 ]

国民生活センター多発する「脱法エステ脱毛」の苦情、被害で警鐘鳴らす
市販品ならなおさら被害広がる恐れ



あるネット広告に本紙は目を疑った。家庭向けに販売されるレーザー脱毛器だから無理もない。しかも堂々と「ビキニラインや腋など気になる部分を3か月で完全脱毛!」「手軽にご家庭でできる○○レーザー脱毛器は全身にプロ仕様のお手入れを実現できます」    とうたうのだから、開いた口がふさがらない。販売価格3万円、5万円で「完全脱毛」なのだそうだ。今ではネットだけでなく家電量販店でも買えるから始末におけない。なぜなら火傷、ミミズバレなどクレームが巻き起こっているからだ。そもそも脱毛行為は、エステサロンでさえ、たびたび医師法違反に抵触する施術行為で摘発される事件が起こっており、重篤な消費者被害も出ている。なのに、一般市場でこのレーザー脱毛器が野放しになっていることは驚き以外のなにものでもない。

 かつてネット経由で個人輸入のかたちで、個人がヒアルロン酸製剤の入ったシリンジを購入して、自らが見よう見まねで注射して肉芽、内出血あるいはネクローシスなどの被害を被ったことが話題になった。しかしこの○○脱毛器の販売はれっきとした日本法人である。つまり個人輸入の代行業者ではない。
 当然、当該商品は国内の法規に従わなければならないはずだが、事実平然と販売されている。そもそも「脱毛」とは毛乳頭を破壊して発毛を妨げることで医療行為にあたることはいうまでもない。「除毛」「減毛」と表示されるはずだ。
 そして一般に売られるこうした家電品は雑貨にあたるが、一方で「レーザー機器」であるなら医療行為とみなされ、医師法違反に抵触することはいうに及ばない。
野放し状態だった「エステ脱毛」に対して、日本エステティック振興協議会(JEPA)が美容ライト脱毛(エステサロンにおける脱毛行為)の自主基準を作成したことは本紙でもすでに報じている。
エステサロンが行う脱毛行為である「美容ライト脱毛」とは、「除毛・減毛を目的に皮膚に負担を与えず毛の幹細胞を破壊しない範囲で、エステティックサロンで行われる光脱毛」と、定義している。

周知のとおり、厚生労働省が平成13年11月に、脱毛行為のうち「レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為は医療行為」であるという内容の通知を発表した。これによってエステサロンはこの通知に違反しない範囲で脱毛行為を行わねばならなくなっている。
エステでさえレーザー脱毛ができないのに、なぜ、市販の〝脱毛器〝が許されるのか?しかも「完全脱毛」と堂々と宣言し、購入した一部の消費者からクレームや被害が出ていることは看過できない事態といっていい。
○○製品は、米国FDAが認可したダイオードレーザーを使用したもので、美容皮膚科からの知見も得ているともPRされている。
まさに医療レベルの「脱毛器」と言わざるを得ない。
独立行政法人 国民生活センターからは、97年以降エステサロンの施術による苦情、危害件数が急増しているとする報告がある。とりわけ増加傾向にあるのが「脱毛エステ」に伴う被害で重症になるケースも少なくない。
先述のとおり、JEPAが作成した美容ライト脱毛(エステサロンにおける脱毛行為)の自主基準によって脱法施術に歯止めがかかることを願いたいが、今でも腫れ、色素沈着、カブレなどの皮膚障害(被害件数のうち8割を占める)や熱傷、火傷などの苦情もあるようだ。

くどいようだが、非医療ではあるがしかるべき施術の研さんを受けて行うエステサロンの施術者でさえ、レーザー脱毛はご法度で、業界あげてライト脱毛へと向かっているにも関わらず、市販の美容器が「野放し」であることは明らかに本末転倒である。
この○○製品を使う消費者の苦情、被害が明るみに出ないうちに、しかるべき措置をとることを強く望む。



(JHM124号より)

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