JAASアカデミー
TEL
お問い合わせ
一般社団法人 JAAS日本アンチエイジング外科学会

JAASアカデミー

一般社団法人 JAAS日本アンチエイジング外科学会

TEL

お問い合わせ

オイスターE6は細胞核中DNAまで達する

[ 2015/1/28 ]

改めて両親媒性抗酸化物質であることを立証

 本紙既報のとおり、今年7月徳島で開催された第39回日本睡眠学会学術総会で渡辺オイスター研究所・渡辺 貢代表(医学博士、畜産学博士)に対して、「ベストプレゼンテーション賞」が授与された。総会には、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構をはじめ、京都大学 医学研究科、九州大学、東京医科大学、慶応大学 医学部ほかそうそうたる医療・研究機関が名を連ね、あわせて346題の演題を数えたが本賞は6題に与えられ、そのうちの一つとして称えられた。受賞講演は「マガキ軟体部から同定された新規抗酸化物質(E6)の血液脳関門移行性と同抗酸化物質含有分画の睡眠に与える影響」であることはすでに本紙で報じたとおりで、E6の速やかな脳内移行性を証明している。しかしE6が細胞核にまで達しているか否かはわからない。そこで同社があわせて検証した研究報告が「マガキ軟体部から同定された両親媒性抗酸化物質(E6)のマウス生体における抗酸化能の検討」である。この結果、E6による細胞核中のDNA抗酸化作用が全身および脳と肝臓で示され、一方で比較検討したビタミンE群では脳のみでしか有意な観察がみられなかった。改めてE6がビタミンEなど他の抗酸化成分に比べ広範囲に有効な抗酸化物質であることが立証されたことになる。

 そもそも同社がマガキ軟体部から同定、解明した抗酸化物質E6(3,5-dehydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は強い両親媒性を示すことが、その後の研究に拍車をかけたといっていい。
 なぜなら水溶性、脂溶性の性質を兼ね備える化学構造式をもつことを突き止めたからだ。この特性ゆえ、既存の抗酸化物質では到底叶わない細胞内メカニズムを発揮することになる。細胞膜をとおり、細胞質内の細胞核で遺伝子DNAを酸化損傷させるROSに対して直接消去してしまう(イラスト図を参考にしてほしい)。
 E6の性質そして活酸素吸収能力を示すORAC値(ビタミンCの2.48倍)の解析、さらには血液脳関門移行性の確認によって中途覚醒の抑制作用を見出している。

 こうしたたゆまぬ研究の推進を経て、今回のDNA抗酸化作用を突き止めることになる。
 試験では糖尿病モデルの系統マウスを用いて、8-OHdGを指標にE6の抗酸化能をみた。評価の拠り所となったところは、尿、肝臓そして脳である。
 8週齢24匹を3群に分け、対照群(0.5%メチルセルロースMC)、ビタミンE投与群(和光純薬工業VE100㎎を0.5%MC溶液10mlに懸濁),E6投与群(E6を39.5㎎を0.5%MC溶液10mlに懸濁)それぞれに、マウス体重20gあたり0.4mlを一日1回、14日間強制胃内投与をし、8-OHdGを測定した。
 その結果、尿中8-OHdG濃度は、対照群より5%危険率で有意に低値となったことで、全身におけるDNA抗酸化作用が観察された。VE投与群では尿中8-OHdG濃度が有意な低値を認めていない。

 同様に脳中8-OHdG濃度も対照群に対してE6では5%危険率で有意に低値となったが、VEでも有意に低値を示している。脳内のDNA抗酸化作用では、E6,VE共に有効に働くことが明らかになった。

 さらに肝臓中の8-OHdG濃度ではE6は対照群より1%危険率で有意に低値であった反面、VEでは対照群と比較して有意差は観察されていない。
 この研究によって、改めてE6がビタミンEなど他の抗酸化成分に比べ広範囲に有効な抗酸化物質であることが立証されたことになる。

DNA酸化損傷マーカー 8-OHdG
 アデニン、グアニン、シトシン、チミンの4種類の塩基から構成されるDNAは、活性酸素によって酸化損傷を受けることが知られている。酸化によってグアニン塩基は8-OHdGに変化し、遺伝子DNAの修復過程で8-OHdGは遺伝子本体から切り離されていく。その後、血液を経て尿中に排泄される。
8-OHdGは比較的安定な物質であることから、生体内で代謝や分解されることなく尿中に速やかに排泄されるため、活性酸素による生体損傷を鋭敏にまた正確に反映する優れたバイオマーカーとして多くの研究で採用されている。

研究によって、改めてE6がビタミンEなど他の抗酸化成分に比べ広範囲に有効な抗酸化物質であることが立証されたことになる。



(JHM124号より)

Copyright (C) JAAS ACADEMY. All rights reserved.