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ズームイン フォーラム講演 その一 第5回JAAS東京LiveForumから

[ 2015/1/5 ]

美容関連診療所の経営強化学(クリニックF院長 藤本 幸弘医師)



JAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会の「第5回JAAS東京ライブフォーラム」(9月28日、29日)が、東京港区TKP赤坂駅カンファレンスセンターで盛況のうちに幕を閉じた。本稿では、第5回ライブフォーラムでの講演の中から、とくに話題をさらった発表を数回にわけてダイジェストで紹介してみたい。第1回目は、経営マーケティングセッションで講演の「美容関連診療所の経営強化学」(CLINIC F院長 藤本 幸弘医師)をピックアップしてみた。

 藤本医師、臨床医であると共にいくつの「顔」をもつ。皮膚の免疫細胞に関する研究で医学博士を取得、さらに量子エレクトロニクス領域での工学博士もあわせもち、とりわけレーザー工学には高い見識と経験をもち米国レーザー医学会の専門医でもある。そして経営管理学修士としてクリニック経営のノウハウにも精通するという類まれな美容ドクターである。

そんな藤本医師の講演ではまず「わが国の医療サービスは、一昔前までは、診療・治療は医者任せ、医者の言い成りであったが、女性の社会進出の増加と高齢社会の進展により美容・アンチエイジングと言った健康と美を維持するための医療へのニーズが高まってきた」と冒頭投げかけた。
そして、患者がクリニックや施術方法を自由に選択できるからこそ、一般の医療機関よりもはるかに競争が激化しているにも関わらずクリニック経営を漫然と行って破綻する恐れもあると警鐘を鳴らす。

こうした中で、同医師は美容クリニックにおいて営利サービス業で活用されている経営学のノウハウの一端や、株式会社化を含む医療機関の経営方針の転換など、いくつかの事例を織り込みながら解説していった。
(以下、藤本医師の講演を語り口調形式で紹介していく。文脈上多少の修正があることはお許し願いたい)
複数の美容クリニックの立ち上げや運営に携わり、さらに自身でも美容クリニックを運営している藤本医師によると、クリニックもきちんと利益を取ることが当然であると話す。その理由はこうだ。
医療現場には、コスト、クオリティ、アクセスの3つが必要であると藤本医師は話す。だが世界の医療事情を見ると、この3つが全部そろっている国はほぼない。アメリカは医療コストを上げることで国民全員の一般的な医療ではないものにしてしまった。逆にイギリスは医療コストを国民全員に提供できるよう原則無料としたためクオリティが下がってしまっている。

そんな中で日本は、通いやすい場所(アクセス)に、低コスト(世界全体でみると日本の医療費は下から8番目程度)で医療サービスを提供している。ともするとイギリスのようにクオリティが下がりそうだが、日本の場合は医師個人の努力によって、高いクオリティを保ち医療サービスを提供しているのが状態だ。
こうなってくると、日本の医師はもっと利益を取って然るべきと強調した。
そのためには美容医療業界はアンチエイジング医療の枠をもっと広げることで、限られたパイをより大きくする必要があるという。フィットネス、スパ、美容院など健康関連産業はリピートによってサービスを継続的に提供することが重要だが、この考えは美容クリニックでも同様である。
新規客を獲得する施策以上に、ロイヤルカスタマー化する施策を展開することで集客費用は4分の一程度に抑えることもできる。リピート率を上げるためには、顧客へしっかりと説明を行い、顧客を教育していくことが大事であると説く。

現在日本もアメリカも、GDPの70%以上がサービス業で占められている。サービスという概念が一般化した今、医療においても「サービスサイエンス」という視点が大事だ。ホスピタリティのある接客、快適な空間の提供はクリニックにおいても必要な要素であろう。といっても、機械的にもてなせばいいというわけではない。顧客が求めているのは、自分だけの、「一瞬のVIPサービス(インチサービス)」なのである。たとえば旅館の女将は、単なるマニュアルに沿ったサービスだけではなく、一瞬のお客様の心を読んで会話やサービスを提供する。通常のマニュアルでは無駄話はいけないとあるが、このように個人にあわせたオリジナルのサービスを提供することを一瞬のVIPサービス(インチサービス)という。
クリニックの経営においてさらに重要なポイントはいくつかある。

まずは理念の確立だ。常にスタッフへコンセプトを伝え続けることで、医師だけではなく全員がしっかりと理念を確立することが大事だという。さらにスタッフの誇り・プライドを保つことも重要で、社員に向上心を持たせることでよりクオリティの高いサービス提供できるようになっていく。 
また、現場の情報収集も大切で、一般的なカルテの情報だけではなく、食べ物や趣味の志向、趣味など一人一人の個性をクリニックにおいて把握することで、たった一人に向けた特別のサービスを提供することができる。

クリニックは今後、医療サービスを提供するだけではなく、お客様をもてなし、大事にし、そして育てていくというスタイルでの運営が必要とされている。さらに施術を提供する医師においても、専門性や学歴、優秀さといったハード面以上に、ファンを形成してオンリーワンの位置を築くことが大事だ。
コンセプトを明確にし、サービスの質を高め、スタッフに誇りを持たせ、さらに医師がオンリーワンになる。こうすることでリピート客の多いクリニックに近づいていく。


(JHM123号より)

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