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広がりみせる男性美容マーケット 育毛、脱毛、男性向け不妊対応商材、スキンケア

[ 2014/10/28 ]

男性向けの美容医療やコンプレックス治療が広がるにつれて、関連商材や機材も次第に増えてきている。分野は育毛(AGA)治療、脱毛、不妊、スキンケアなど様々であるが、実際の受診への動きはまだまだ鈍い。関連の商材の動向を追った。

以前から男性向けのマーケットとして注目されているのは育毛・薄毛治療だろう。
20年ほど前から育毛・発毛に関連するヘアケア商品を開発・販売しているイー・ケイ・コムでは、取り扱う育毛サプリメント「ヘアフォーミュラ」について、一度に12個と年間購入するユーザーも多いと話す。同社の育毛サプリメントは一般的な市場価格よりも少し高い価格設定だが、ノコギリヤシ(ソーパルメット)やビオチン、亜鉛、プロトアントシアニジンなど天然成分にこだわり厳選した成分を配合しているため、実際に購入した場合、効果を実感するユーザーが多い。
そのため他商品との比較として、試しに1個使ってみた結果、「髪にコシが出た」「抜け毛が減った」と感じてリピート購入に繋がることも多く、30代~50代の幅広いユーザーに人気だという。
さらに育毛サプリだけではなく、育毛剤やシャンプー、検査キット等も取り扱っており、育毛の悩みへ幅広く対応しているため継続して購入するユーザーが多い。
一方、スカンジナビアが昨年10月に発売した新しい育毛システム「HAIRMEDIC SYSTEM」は、バジル領域を活性化させ育毛促進しつつ、脱毛因子を抑制する機能を併せ持つ最新の育毛機械だ。
すでにクリニックやエステサロンへの導入も進んでおり、男性でも効果を実感する施術者が増えているという。同機の電流は「Multi spectrum wave」といい、従来機に多い単一周波数ではなく、超低周波、低周波、中周波、高周波を組み合わせた広帯域の周波数を使っている。これは、人間が本来もっている生体電流に近い電流(ヘアメディック電流)ともいえる。また実際には、育毛とスカルプケアだけでなく、ボディへのリラックス効果とフェイスに対するアンチエイジング効果もある。あるクリニックと提携して実施したモニター調査では98%の患者が満足したとするデータもあり、今後の更なる拡大が期待される。
男性をターゲットとして「不妊市場」も目が離せない。
マカ専門店として不妊サプリの開発・販売を行っているホットストアでは、「伴侶である女性が先に購入し、効果を実感したところで男性に勧めて一緒に飲み始めるケースが多い」と話す。
男性の場合、自分に不妊の原因があるかもしれないと思うことがほぼなく、女性がサプリ等の効果を実感したところで男性にも勧めて飲み始めることが多い。なお男性の場合は、マカの性ホルモン分泌促進作用面だけではなく、抗肥満作用、持久力向上・抗疲労作用という点でも体感が得られることが多いという。
いずれも不妊治療には事欠かせない効果であるため、男性にとってはトータルで嬉しいサプリといえよう。
同社では、ペルーの高地で栽培された有機JAS認証も取得している無農薬の原材料のみを使っており、マカ本来が持つ多様な栄養成分をそのまま摂取できるように濃縮せずに100%マカのみのサプリを製造している。ここ数年で購入者の年齢層もさらに拡大しており、最近ではWebだけではなく電話での購入受付も行っている。
育毛・不妊といったコンプレックス治療とは少し異なる、スキンケアの場合はどうか。
メンズコスメ専門のバカナジャパンでは、5年ほど前から製薬会社との共同開発によって男性専用の化粧品と石けんを開発・販売している。
世間では、男性向け化粧品と言いつつ、処方や成分は女性向けと変わらないものもある中、同社では研究段階から「男性」に特化して製品を作っている。
もともとメンズエステサロンを経営していた代表の山根氏は、男性の肌が女性の肌質と異なる点に着目。その後、研究を重ねることで、男性は女性と比較して水分蒸散量が2倍以上、また皮脂の分泌量も3倍程度だということが分かった。そのため男性が女性の化粧品を使用すると、水分が不足した脂っぽい肌になってしまうのだ。
そこで同社では肌の再生に最も効果的な浸透方法から成分、水分蒸散量を抑える事などを重点的に考え、「塗るボトックス」とも言われるアセチルヘキサペプチド-3やプラセンタ、ヒアルロン酸等を使った「元美水」を開発。大々的なプロモーションは行っていないが、口コミで次第に広がり、現在では通販サイト等を中心に20~30代の男性固定客を増やしているという。
とはいえ、まだまだ山根氏が考えていた当初の目標にはまだ届いていない。もっともっと男性向けの美容マーケット拡大を推し進めたいと同氏は話す。
これらの男性向け美容医療商材については、コンプレックスを感じている一定のコアユーザーは継続して利用しているようだが、まだまだそれ以外で見るとそれほど拡大しているとは言えないようだ。男性向けの美容医療マーケットは、まさに始まったばかりと言えよう。
マーケティング・コンサルタントのジェフリー・A・ムーア(Geoffrey A. Moore)は著書『Crossing the chasm』(1991年)の中で「キャズム理論」についてこう説く。
顧客は感度の高いほうから「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つに分かれるが、新技術や新流行は「アーリーマジョリティ」(普及率16%以上)にまで届かないと、急速には広がらないという。
すなわち、「アーリーマジョリティ(実利主義者)」が求める形で商品をマーケットに訴求していくことが重要なのだと。まさに今、男性向けマーケットはこの位置にいるようだ。
生みの苦しみはあるが、新しい分野が花開いた時、仕掛け人達の参入メリットは計り知れなく大きいものになるかもしれない。

◎本稿に興味のある方はこちらまでお問い合わせ下さい。


(JHM122号より)

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