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1杯数百円の漢方煎薬「漢方Bar」オープン

[ 2014/8/25 ]

119号16面 写真(カラー入稿


昨年10月、さいたま市等が主催する「さいたま市ニュービジネス大賞」の1つとして、民間法人の新事業が受賞対象となった。漢方製造メーカーとして45年以上の歴史を持つタキザワ漢方廠(しょう)による「漢方Bar」だ。地域の薬局・薬店内に漢方煎薬を気軽に飲むことができるスタンドを設置するという、未来型健康ステーション構想というから興味深い。今年6月いよいよ、そのモデル店が出店する。


老舗漢方製造メーカーのタキザワ漢方廠・瀧沢社長がアイデア生む

「漢方Bar」の発想は、タキザワ漢方廠2代目社長の瀧沢努氏のアイデアから発展した。
同氏は、2代目社長でありながら実は歯科の開業医でもある。歯科医から漢方製造メーカー社長への転身、さらには「漢方Bar」という斬新な新事業の立ち上げへと動く。
そして今年2月からタキザワ漢方廠の2代目社長となった瀧沢努氏ではあるが、それまで歯科医として15年程度地域医療に携わってきている。実家が漢方製造メーカーだったこともあり、歯科と漢方の提携に早い時期から興味を持つ。


一方で口腔内科研究会も立ち上げ、口腔漢方、オーラルサプリの研究、普及進める

一方で出身大の歯科薬理学の教授である王宝禮教授に相談したところ、同教授が漢方薬による口腔疾患改善の研究をしていると知り意気投合。口腔をひとつの臓器として捉え、口腔疾患に対して検査、診断、投薬を行い治療を行うという考え方の口腔内科学に共感し、瀧沢氏の歯科クリニックでも早速導入を進めていく。
口腔疾患とは歯周病、口内炎、舌の痛み、口の渇き、口臭などで、口腔内科学とはこれらに対し漢方治療やサプリメント療法を行うというものだ。同社は2009年に口腔内科研究会も立ち上げており、歯科医や衛生士800人程度が参加し、オーラルサプリや口腔漢方、オゾン療法などの研究や情報共有を行っているという。


瀧沢社長 歯科医として地域医療に従事口腔疾患と漢方治療を融合

こうした中、瀧沢氏は次第に口腔内科学や漢方療法へ魅了されていく中で、父の会社であるタキザワ漢方廠の事業にも携わるようになる。そしてこの事業に関わるうちに、次第に同社顧客である街の薬局・薬店の現実を目の当たりにする。以前は、薬局・薬店といえば「街の頼れる健康相談所」であったのだが、ドラッグストアの台頭や医薬分業といった時代の変化に伴い、街の住人にとって薬局・薬店が次第に遠い存在になってしまっていたことに気付く。
そこで同氏は、気軽に健康相談ができる対面相談型の薬局を取り戻せないかと知恵を絞る。そして、体調がよくない際などに気軽に健康相談ができる場所として、今回の「漢方Bar」のアイデアが生まれたという。


事業プランはさいたま市のニュービジネス大賞を受賞

昨年10月に「さいたま市ニュービジネス大賞」の奨励賞を受賞したことは先述のとおりだ。さらにその後、さいたまスーパーアリーナで開催された市民向けの受賞者展示会では、受賞した8つの事業プランの中でも来場者が「最も共感した事業」としてコラボさいたま賞をダブルで表彰されたという。
これによって同社は、新規事業の更なる手ごたえを感じていく。また一般の市民からは、「漢方に興味はあるものの効果があるのか分からない」「どの漢方が自分にあうのか分からない」など様々な生の声を聞くことができたため、これらを今回の事業に反映させさらにブラッシュアップを図っているところだ。


気軽に薬剤師に相談できる未来型健康ステーションに

「漢方Bar」で提供される漢方煎薬には、何か違いがあるのだろか?本紙取材班が失礼ながら、『市販の漢方薬と同等の効能を想像したのだが』、タキザワ漢方廠が2010年に行った有効成分比較試験によると、市販・処方されている漢方剤と比較した結果、同社の漢方煎薬は2倍以上の生薬成分が含まれていると言うこともわかった。
慢性的な症状には継続した利用を推奨しているが、風邪や一時的な便秘などであれば、薬剤師が症状などをヒアリングし最適な漢方煎薬を提供することで1度飲用すれだけで改善することもあるという。
「漢方Bar」モデル店は大宮駅東口に今年6月オープンする。地元では「美容室通り」とも言われる一の宮通り沿いのビル1階という好立地だ。今回の「漢方Bar」は30代、40代の女性をメインターゲットとしており、冷えや女性疾患、便秘など対処療法ではなく体質完全の必要な症状に対して特に積極的に展開していきたいと話す。
薬局・薬店の敷居の高いイメージを払しょくし、気軽に薬剤師に相談しながら1杯数百円の漢方煎薬を飲むことができる「漢方Bar」。漢方を気軽に知ることができる空間が、もうすぐ完成する。
街の薬局・薬店を活性化させたいという漢方製造メーカーの想いからスタートした新事業の今後が注目される。


(JHM119号より)

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