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牡蠣由来新規抗酸化物質3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcoholの 海馬グルタミン酸作動性神経活動に対する作用解析

[ 2014/1/7 ]
静岡県大薬 大橋加純、玉野春南、植松千裕、武田厚司 渡辺オイスター研 渡辺貢 広島国際大薬 池田潔  

目的
ヒトにおいて牡蠣肉抽出エキスの摂取が睡眠時脳波の改善などに抗ストレス効果を示すことが近年報告され、牡蠣肉抽出エキスから高い抗酸化作用を示す3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(E6)が発見された。本研究では、マウスに牡蠣肉抽出エキスならびに新規抗酸化物質E6を摂取させ、うつ様行動に対する作用など脳機能に及ぼす影響を調べた。

方法
通常食に牡蠣肉エキス原末を添加して飼育したラットならびにE6含有水(1mM)を3週間与えたマウスを用い、強制水泳試験によるうつ様行動(無動時間)などを調べた。また、ラット海馬スライスを作成し、E6(1mM)を含むコリンーリンゲル液で保存後、60mM KCIを用いてCA3領域でグルタミン酸作動性神経活動を開口放出検出試薬FM4‐64および細胞外亜鉛蛍光試薬ZnAF‐2を用いて評価した。

結果および考察
牡蠣肉エキスを4週間摂取した雌マウスの出生率は増加し、平均産仔数は優位に増加した。牡蠣肉エキス摂取群の出生後の体重増加は通常食群と変わりなく、オープンフィールド試験での自発運動量にも有意な変化はなかった。
しかし、生後10週齢の時点でうつ様行動は通常食群と比べて有意に減少した。
そこで、うつ様行動を増加させる亜鉛欠乏食とE6含有水を3週間同時にマウスに与えた。しかし、無動時間に変化は見られなかった。

一方、グルタミン酸の開口放出は有意に減少し、刺激後の細胞外Zn2+レベルも減少した。
以上の結果から、E6は海馬グルタミン酸作動性神経の異常な活動を抑制することが示唆された。現在、マイクロダイアリシス法を用いて、海馬細胞外グルタミン酸濃度ならびに高カリウム刺激によるその濃度上昇に対するE6の作用を検討中である。
(2014年 日本薬学会第134年会・熊本にて発表予定)


(JHM115号より)
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