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提言 ㈱ヘルスビジネスマガジン社 代表取締役会長 木村 忠明氏

[ 2013/8/23 ]
サプリメントが安倍内閣の成長戦略の主要なテーマに
効果など表示規制を緩和へ5兆円の成長産業創出めざす

生活習慣病の予防に計り知れない影響が

安倍内閣は6月14日経済活性化の成長戦略を策定したが、医療・健康分野の主要なテーマの一つとしてサプリメントの効果表示規制を大幅に緩和し、錠剤・カプセルタイプの食品から野菜などの生鮮食品までのいわゆる「構造機能表示」を認める方針を明らかにした。

産業として5兆円の市場創出を目指すようだが、成長戦略が軌道に乗れば日本のサプリメント市場は世界でも最も大きな市場を形成すると同時に、日本人の病気の予防に計り知れない影響を与えることになりそうだ。



規制は市場拡大の障壁に


日本では既存の食品の効果を表示できる制度として個別評価型の特定保健用食品(トクホ)とガイドライン型の栄養機能食品を含めた保健機能食品制度がある。
トクホ制度は生活習慣病の予防目的に制度化されたが、末端製品レベルで有効性のデータが必要で、100名を超える臨床データも必要なことから、その研究費に2億円以上の費用が掛かるにもかかわらず、許可もなかなか得られないため、申請数も伸び悩んでいる。
さらに食品全体で70兆円といわれる市場のうち、特定保健用食品は5000億円程度で1%に満たない。このため、予防としてはほとんど機能していないとの批判もあって、制度そのものを見直す必要性が叫ばれている。
一方、これらの制度の対象にならないサプリメントは大きな潜在ニーズがありながら、市場は1兆7000億円市場しかなく(特定保健用食品の3倍以上)、効果表示が出来ないためさらなる市場拡大の大きな障害になっている。


機能表示を第三者機関の認証で



今回のサプリメントの規制緩和はこの制度外の健康食品を対象に、成分レベルで一定のエビデンスのあるものに、第三者機関の主導で構造機能の表示の認証を行い、パッケージや広告宣伝で効果を訴求出来るようにすることで国際的な基準と整合性をつけ、国内はもとより海外市場も視野に入れた動きを目指す。
成分のエビデンスについて、すでに消費者庁が(財)日本健康・栄養食品協会に委託し11成分の機能性評価を行っているが(表参照)、この評価がそのまま採用されるわけではない。
また特定保健用食品や栄養機能食品の効果表示などもさらに拡充することを含む。
日本で日常的にサプリメントを利用している世帯は、総務省の調査では日本の5000万世帯の15%前後で、米国並みに広がるとすれば、数倍の市場になる可能性があり、サプリメントの成長戦略が実施に移されれば、日本のサプリメント市場に巨大な影響を及ぼしそうだ。
またサプリメントを含めた健康に効果のあるとされる食品に効果表示を許可して、生活習慣病などの予防対策に乗り出したアメリカではその成果もあって、1998年から一貫して、心臓病やがんなどの死亡率や罹患率が減少し続けており、世界の多くの国がサプリメントなどの食品を使った健康対策を行い、成果を上げている。
日本では急速な高齢化で健康状態に問題のある人が増えており、この成長戦略でサプリメントから加工食品、生鮮食品まで健康への効果を訴えて消費者への利用を促せば、影響は計り知れないものとみられ、国を挙げての生活習慣病の予防対策として大きな期待を集めている。



(JHM112号より)
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