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高田教授が指し示す美しさの基準 [JHM]

[ 2012/10/10 ]
美容形成の真価は美的センス
「より魅力的な顔」を作りだせる!?




「JHMマーケットデータを読む」2回目は、阪大大学院医学系研究科・美容医療学講座の高田 好章教授が先ごろ発表した「美しさの基準」を取り上げる。美容形成の世界では外科的なスキルもさることがら、術者の美的センスが求められることはいうまでもない。患者の要望を満足させられる美的センスと同時に、いかに「より美しい魅力的な顔」を作り出せるか?美容形成医の真価が問われる最大のポイントといってもいい。しかし術者それぞれの顔かたちの好みであったり、美貌や魅力的な顔に対するイメージは千差万別であることから、「せめてある一定の基準となる目鼻立ちやバランス、その根拠となる数値があったら」というドクターも少なくない。そんな要望に高田医師がヒントを投げかけたものが、今回の内容である。日本などアジアだけでなく世界の「美しさの基準」と照らし合わせながら日本的な基準が示されていることは興味深い。美容医療マーケットの未来は、この「美しさの基準」にヒントが隠されているかもしれない。


黄金比率 1:1.618(Jefferson理論)が理想

「美しい・魅力的な顔」の特長は一般的に(1)大きな眼(2)小さく高い鼻(3)小さい顎(4)頬の頂点が高い(5)厚い唇(6)きれいな肌としているが、これでは漠然とした基準であることは否めない。

そこで高田教授が示した外人女性の比較「どちらが魅力的か?」から論を進める。
顔のバランスを、古今東西のモノ、植物、動物、造形物を例にだし、理想的なバランスは黄金比率(Golden Ratio)=1:1.618として割り出したJefferson Yの理論であり、顔もまた同じであると投げかけている。車ベンツのデザイン、植物の葉っぱの伸び方、昆虫の手足さらには古代パルテノン神殿やピラミッドの構造、化石アンモナイトの渦巻きにも、この比率が反映されているという。




魅力的な顔は見た目にも、またこの比率からしても上の図になる。
額の毛髪の生え際から鼻までと鼻から顎まで、そして眼から唇と唇から顎までの比率1.1618:1となる。この比率、縦の基準と横の基準(側頭部の生え際の間と眼の間隔、鼻翼の幅と唇の幅)を、歯科矯正をした患者、モデル、女優と比較するとおもしろい。縦の基準は女優が黄金比に最も近い反面、横の比率ではモデルや女優はその比率が理想とはかけ離れている。要因は眼が大きすぎるのだという。


理想の顔フェイスマスク(Marquardt考案)ではアジア人が適用


高田教授は、さらにMarquardt SRが考えた「理想の顔 フェイスマスク」について示した。この特長はすべての黄金比に基づいてマスクが決定し、人種、性別に関わらず適用できるとしているが、サハラ以南のアフリカ人や東アジア人には男女とも適しているが、欧州の女性では男性的になってしまう。しかし、アジア人には、「顔面のバランスやパーツ構造の配置を決定する際に有用である」と推奨している

一方、Pallettらが考えた新しい黄金比率もある。それによると「目と口の距離は顔面の長さの36%が理想で、両目の距離は顔面の幅の46%が望ましい」としている。
それでは、魅力的な顔とはどのような顔なのか?それは平均顔でもあるという。そして平均顔を足せば魅力的な顔になるのか?という仮説をもとに合成写真をつくったところ、魅力的でない顔に50%の平均顔を合成すると魅力的と評価されたが、魅力的とされる顔に50%の平均顔を合成すると逆に魅力的ではないと評価されてしまった。
この基準は、どうやら疑わしい。




しかし魅力的な人物の平均顔が、最も魅力的であるという結論を導き出している。因みに上の写真でみるように、14名の代表的なタレントの合成写真が上の女性の顔となる。


老化顔を童顔に近づけるには眼窩下部(頬骨)を高くする


発表では最後に「童顔」と魅力について述べている。
その特長として、顔面全体が丸みを帯びていること、眼が丸くて大きい、眼の周囲が陥没していない、鼻が小さめで短い、頬部の頂点が高い、頬がこけていない、顎が小さいなどである。

つまり老化から起こる顔の変化を、童顔の状態にもっていくにはフィラーなどでボリュウムアップをして、眼回りや頬そして眼窩下部(頬骨)のたるみ(下垂)を修正していくことだという。

「美しい顔、魅力的な顔を方程式にように導きだせるわけではありません。しかし医師と患者さんとの共通の参考事例、ツールとして活用しながら双方が十分に相談の上施術していけば、大きなQOLを得られるでしょう」と結論付けた。

こうした基準、大いに参考にしていただきたい。なぜなら美容医療マーケットの未来は、この「美しさの基準」にヒントが隠されているかもしれないからだ。



(JHM106号より)
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