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医療サイドの主張に軍配あがる|ホームページの医療広告規制ガイドラインで [JHM]

[ 2012/8/1 ]
第12回検討会で最終案まとまる

施術前後の写真、患者の体験談では掲載認められる

明らかな加工・修正などに掲載禁じる、違反には医療法以外の法令で対処

運用は関連団体の自主性にゆだねられる



厚生労働省は、美容医療と歯科インプラント治療を行う医療機関を対象に、インターネットなどHPにも範囲を広げる医療広告ガイドライン【医療機関のホームページ内容の適切なあり方に関する指針】の最終案をまとめた。これは、先ごろ開かれた第12回「医療情報のあり方等に関する検討会」で集約され、ホームページに関しては、原則として医療に関する広告の範囲を設けた医療法(法律205号)の規制対象とは見なさないとするものの、その内容については適正なあり方を定め、平成19年に局長通知として通達された医政発第0330014号の、いわゆる医療広告ガイドラインを一歩進めるかたちで、規制範囲を明確化した。またこの規範は関連団体による自主的な取り組みを促すとした。

これは、当初検討会でも議論の分かれた基本的な論点「ホームページの医療広告を規制する行政監視の権益を大幅に認めるか?」「医療側の表現の自由の担保と自主的な取り組みに任せるか?」に対して、後者の意見に歩み寄った感が否めない。とりあえずは医療サイドに軍配があがったといっていい。


本紙103号そして104号で報じてきた「ネット広告の規制」のゆくえは、ひとまずは医療業界サイドに軍配が上がった。
指針ではまず、現行の医療法や局長通知による医政発第0330014号「医療広告ガイドライン」で示されてきた「医療機関が開設するホームページは当該医療機関の情報を得る目的をもつ者が検索サイトでの検索を行い閲覧するため、広告とはみなさない」とする原則論が引き続き守られ、一方で医療機関並びに医師らの自主的な取り組みを尊重するかたちで関連団体の自主性にゆだねることとした。

さらに「国民、患者によって有用な情報源の一つとしてホームページ特有の性格を考慮する」と基本的な考え方で述べていることから、行き過ぎた広告内容(誤認を与え、もしくは詐称の内容)に限って、その規制の範囲を一歩広めるに留めたかたちだ。

とりわけ美容および歯科インプラントなど自由診療分野で関心の高かった、施術前後(BeforeAfter)の写真、さらには患者の体験談などへの規制では、「あたかも効果があるように見せる加工・修正(撮影条件、被写体の状態を変える)した術前後の写真」や「当該医療機関に意図的に便宜を与えるような体験談を取捨選択して掲載する」ことを禁じたが、掲載自体への規制強化には至っていない。
本紙も主張してきた「事実としての術前後の写真の掲載など信憑性が高いものまで規制の対象にすることはあってはならない。消費者の保護と権利を主張することと同じように、医療機関とりわけ医師の治療の権利まで奪ってはならない」する業界側の意見は認められたといっていい。

ただ仮に虚偽、誇大な内容を掲載することは明らかに国民、患者を不当に誘引することになるとして、医療法以外の法令で規制、罰則へとつながると指針案では明記する。

指針では「絶対安全な手術を提供」「○%の満足度」「日本一」などの表示表現についても、虚偽であったり客観的なデータや科学的根拠がなければ掲載はできない事項にした。

今年4月14‐15日開催された「第3回JAAS東京LiveForum」で、医療過誤(医科・歯科)や医院経営などの依頼件数も多い鈴木 英之弁護士の話でも「全面的な広告規制にはならない。医療従事者としての見識や専門性はこのガイドラインに反映されるべきだが、一方で有効性については個人差の違いなどよほどそのデータに医学的根拠がないと裁判では勝訴できない」と指摘していたことから、これからの美容医療では、臨床症例に加え、より客観的なエビデンスが求められるはずだ。

さらに、当該医療機関や民間団体が運営する活動実態のない団体による「認定医」などの資格は掲載を禁じることとした。また早急な受診を過度にあおる表現や費用の安さを強調する「○○キャンペーン」などについても不当な誘引にあたるとして掲載すべきでない旨、明記している。指針では最後に、自由診療において利点や長所のみが強調され、治療のリスクや副作用情報が乏しいケースも少なくないため、こうした情報も提供するよう求めている。

なお本ガイドラインにあるネット規制の対象には、医療機関のホームページのみならず勤務する医師個人のブログなどについてもホームページとリンクで一体的に運営される場合や、広告会社、サイト運営会社などによって客観的ではないスポンサー情報や施設バナー(検索によって施設のホームページにつながる)にも、内容次第では適用される。



(JHM105号より)
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