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第9回 電子的に素膚(肌)をつくる美容術 [JHM]

[ 2011/6/22 ]
「テタヌス刺激」で皮膚細胞を再生、「生体電池」SAPSがシミ、しわをとる



微弱電流を通電させて、細胞損傷の修復を行う試みが一部で行われているが、いま医療へもその応用が本格的に始っているらしい。本稿「JHM知っておきたい話題の施術」のシリーズ9回目で紹介する全く新しい美容術にも、この理論が応用されている。「電子的に素膚(肌)を造り上げる」ために開発されたのが、「テタヌス刺激」と呼ばれる皮膚細胞の再生プロセスを利用した特許技術である。その電子工学をベースに生まれたロジックは何とも難しい。しかし開発者の笠野工学博士によれば、「皮膚損傷の外科的な治療だけでなく、効果的に美容製品に活用できる」と自信をみせる。すでに、販売社であるアイキャンから、「美顔器テタヌスソニック」、「美容シートSAPS」、「治療シート・ザ・バイオセル」が応用品として発売。エステ、理美容そして美容医療チャネルに向けて販促に動き出している。

応用品の一つ「ザ・バイオセル」は、磁気治療などで馴染みのいわゆる“皮接治療具”の一つで、その治癒率は85%と高い。たとえば、圧接と磁力線を利用して肩こりなどに使うマーブル型の磁気治療器では35%、圧接効果のみを期待して作られたゲルマニウムタイプに至っては30%と効果は限定的だ。

ではなぜ?そうした高い効果を出すのだろう。
SAPSと呼ばれる原理から作られたその構造から、遠赤外・指圧共助効果と呼ばれる作用と、皮内にイオン電流を誘起してコリや痛みが緩和していくという。
理科の実験を思いだしていただこう。電極に片方は金、もう片方に酸化亜鉛としてその電子親和力の差を利用することで、電解質内のイオンがそれぞれ還元酸化現象をおこし、その結果電解質内にイオン電流が誘起する。

SAPSは、言い換えればこの「理科の実験」の原理を、生体の皮膚(電解質)に応用して“生体発電”をしていく。
つまりSAPSは「生体電池」と言っていい。
そしてこのSAPSが、筋肉組織、末梢神経さらには毛細血管にまで浸透することで、コリや痛みを和らげていくことになる。

開発者であり国際特許権者でもある笠松博士によれば「皮膚起電のSAPSの動作原理をさらに応用すれば、美容皮膚分野にも活用できる」として、もうひとつの応用商品を生み出し、アイキャンが発売に踏み切った。
美容シート「SAPSシート」がそれで、皮膚細胞への電子的な賦活を与えることで、色素沈着などから起こるシミやしわなどに活用の道を見出した。
SAPSの原理を一方でつかさどるものが、「テタヌス」と呼ばれる高頻度の繰り返しを起こす刺激の伝達プロセスで、この刺激経路を皮膚細胞の再生プロセスに利用した特許技術である。

笠松博士は、こうした神経生理学の知見をベースに皮膚細胞への応用にこぎつけた。
「電子的に素膚(肌)を造り上げる」ために創り上げたのが「SAPSシート」である。構造は先述の応用製品「ザ・バイオセル」と同じだが、シートをあてる前にあらかじめ通電をより促進するためのジェルシートを塗る。そしてシミ、しわのある箇処に通電、皮内のオキシダントに作用して不対電子を消去しオキシダントを無害化していく。
全く新しい、美容皮膚分野における「アンチエイジング・シート」となる。
そもそも販売社アイキャンの奥田代表、「シミ、しわをつくらない予防美容」をコンセプトにした製品販売に長く関わってきたことから、この商材も「しわ、シミも消すためのものではない」と言い切る。



巷に喧伝される化粧品や理美商材が、肌や髪の毛をかえって痛めつけていると、かねてから警鐘を鳴らしてきた。そんな同社が関わった今回の商材だからこそ、シミ、しわをつくらない予防美容商材に育て上げていきたい、と話す。
同社ではすでに、この「笠野理論」を応用した美顔器「テタヌス光超音波」を発売している。超音波振動に加え、バイブレーション機能をつけたこの装置は、皮膚の若返りを求めるユーザーから支持を集めている。

この全く新しい理論と応用製品が、美容術の世界を塗り替えるかもしれない。
余談になるが、笠野博士のめざす最終ゴールは実は世界初の経皮投薬技術の完成である。
「バッテリーレスイオントフォレシス」と呼ばれる医療分野でのシートデバイスだ。薬剤を塗布して皮膚に貼るだけで起電し、その電力で電気的に薬剤イオンが導入できるというもの。より高い安全性はもちろん、低コスト化をはかれれば、医療分野に革命を起こすことは間違いない。
インシュリンの導入など皮膚上で投与薬剤の血中濃度を測り、コントロールできれば画期的な医療デバイスになる。またアンチエイジング療法で知られるホルモン補充療法などにも、応用が可能だ。


(JHM99号より)
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