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【8】業界オピニオンの声 藤塚 秀樹 [JHM]

[ 2011/4/27 ]
日本は医療機器認可の後進国〜デバイス・ラグ解消を
ニーズは1台で多機能など



薬事コンサルタント会社エキスパートナー・ジャパン 藤塚 秀樹

日本の医療機器は国産品も多少出てきてはいますが、圧倒的に輸入機器が多い。その原因としては、欧米との技術利用の価値観の違いが挙げられます。新しい技術・材料が開発されると、欧米では最初に応用されるのは医療分野なのです。真新しい画期的な医療機器製品というのは、そのような土壌のない日本からは中々生まれてきません。また、臨床試験をやるにしても欧米のようには患者さんが集まらないという事情もあります。

認可を得るのも日本は非常に時間がかかります。これも欧米との国民性の違いに起因している面があるのですが、向こうでは製造者責任、自己責任の考え方が非常に強い。一方、日本では認可した国の責任が強く問われます。ですから国としても慎重にならざるを得ない面もあります。ただ、認可までの時間の問題は早急に改善していくべきです。最新型の輸入機器を申請しても承認されるまでに一年くらいかかってしまい、日本で新発売された頃には世界ではもう旧型なんてことがよくあります。世界の市場に出回っている医療機器のうち、日本に登場するのは常に60%とも言われています。国としても申請書類の内容を海外並みに簡素化する動きなど、デバイス・ラグ解消に向けての取り組みがやっと始まりはしましたが、思うようには進んでいません。

今、医療機器には安全性、有効性に加え、品質が強く求められるようになりました。平成17年の薬事法改正でこの部分が大きく問われるようになったからです。製品だけでなく、製造所と製造販売会社自体の品質管理体制がきちんとしていなければもはや認可はされません。厚生労働省令にも品質管理体制に関する多くの要求事項が示されました。このところ国民の健康志向を背景に新規参入を目指すメーカーが多くなりましたが、コンサルタント会社のアドバイスなしに自力で認可を得るのは至難の技です。

今述べたような足かせは確かにありますが、医療全体の市場は伸びていますし、機器分野も医療現場のニーズに応える製品が供給されていけば市場は成長していくはずです。たとえば患者さんの症例、部位に合わせて設定を変えられるようなもの。1台で多くの機能を有するものだとか。それから最近の狭い診療室にはコンパクトであることは絶対条件です。さらにはモニターに使用手順が出るような利便性が求められます。患者さんの側からすれば体に負担のかからないものです。一方、再生医療を国、地方あげて推進する動きになっていますから、医療機器もその方向で輸入、国産問わず市場に出てくることになるでしょう。また、輸入品ではアジアからの比率が高くなっていくのが特徴です。



(JHM98号より)
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