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【2】業界オピニオンの声 山本 豊 医師 [JHM]

[ 2011/4/19 ]
美容医療が、『気』の病をも治療できる


山本クリニック
山本 豊医師


病は気から。
まさにそうである。現代社会においては、うつ病に代表される『気』の病も増加している。我々美容を診療している医師には、全く関係のない話題だがと、流されてしまうのは、少々具合が悪い。
病と気の関係には面白い結びつきがある。以前、有名な科学雑誌に『笑っていると免疫細胞の活性があがる』という趣旨のものが発表され、話題を呼んだ事を記憶されている方もいることだろう。また、笑いが免疫力をあげるのであればと、患者さんにお笑いを見せている病院も存在する。
このような結びつきは、我々美容を仕事としているものにも非常に関係がある。  
以前、バイトで老人ホームに行っていた時に、ボランティアの方々による高齢女性にお化粧をする企画というものがあった。お化粧の意味が何かは、初めは分からなかったのだが、お化粧をされた入居者の表情が生き生きとしているのを見て驚いた。奇麗になることにより彼女たちの生物的活性があがったのだ。

美容診療や美容業界に携わる者なら、似たような経験はきっとあるだろう。美容外科の患者さんの低年齢化が起こっているような印象を個人的に持っているが、顔が原因、ないし顔が原因であると本人が思い込んでいる低年齢の患者さんにお会いすることがある。このような方に二重の手術を施すと一重で引きこもりがちな性格が術後から明るくなり、声の表情、服装が変わり別人のように生き生きとした変化を見ることも稀ではない。

一般診療のみで、癌患者を診療していた頃は、こうした美容と医療の関係には全く気が付いていなかった。乳癌患者の病巣部を取り除くことに医者として満足していた自分がいた。術後に片側のみの乳房になってしまった患者さんの心のケアまでは気が回っていなかった。近年、乳房再建が盛んになり、患者さんの心のケアにまで医者、社会の関心が大きくなってきたと言える。癌を取り除いたのでそれでいいだろうというような考え方は、もはや通用しない。
社会問題となっているいじめや引きこもり。これらは、全く美容外科の治療対象ではないのだろうか?容姿が原因となっているものも少なからず存在しているはずである。だとすれば、容姿を変えることにより『気』が健全に保てれば、こうした『社会的な病』を治療できると考えるのも自然であるかもしれない。

我々美容医療の者が『病』を治療する者として社会的な認識を持つことも、現象としての矛盾はないはずである。
だからこそ、私も評議員を務めるJAASを通して、この「現代病」に立ち向かって行こうではないか。


(JHM98号より)
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