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成人5人にひとりが睡眠の問題抱える [JHM]

[ 2010/8/12 ]
活性型オイスターで
ストレス緩和、睡眠のQOLにも改善傾向

生体マーカー(内分泌系ホルモン)指標で8週間オープン試験



ストレスや疲労は疾病の原因であることはよく言われているが、通常の医療はなすすべを持たない。ストレスや疲労が亢進し、うつなど疾病状態になった時、初めて治療というアプローチを行うことができるが、本来ならばストレスや疲労の段階で、解消できるほうが望ましい。そのため補完代替医療として、予防的にストレスや疲労にアプローチする研究は、さまざまに行われている。本紙93号では、『ワタナベ活性型オイスター』のうつ様症状に対しての研究結果をお知らせした。今回は、同製品の摂取が、ストレス、睡眠の質、疲労など、QOLに対して、どのような影響を及ぼすのか研究した結果について掲載する。


日本人の成人5人に1人が睡眠に関して何らかの問題を抱えていることが、疫学的な調査などから明らかにされている。また、厚生労働省が2008年に行った「患者調査」では、うつ病は1992年と比較すると、調査年では2.4倍も増加し、国民104万人がその症状に悩まされている。精神的なストレスが、うつ状態を引き起こす要因になるが、それに加え、亜鉛欠乏などの栄養的な要因がうつ状態を誘発させることも、報告されている。

本紙93号では、こうした低亜鉛状態がどのようにうつ様症状に結びついているのかを研究した渡辺オイスター研究所と静岡県立大学などとの共同研究の結果を掲載した。この研究はNeurochemistry Internationalに発表されているが、2週間の低亜鉛食を与えたラットの、視床下部—下垂体—副腎皮質(HPA)系の障害によるグルココルチコイド分泌抑制や、海馬によるグルタミン酸放出の促進などの影響をみている。

今回の研究はこの結果を踏まえ、亜鉛不足傾向でストレスや疲労感、不眠を持っている勤労者を対象に『ワタナベ活性型オイスター』を1日12粒、8週間連続摂取した時のストレスや疲労感、睡眠の質に対する影響を検討するために、オープン試験を実施した。

この試験デザインの特徴は、有効性の評価を、精神保健分野では一般的な従来からの主観的評価だけでなく、生体マーカーとして、内分泌系ホルモンを指標にして行なっている点だ。

今回、ストレスや疲労の指標として用いられた生体マーカーは、唾液中のコルチゾール濃度と血清中DHEA-S/コルチゾール濃度比だ。
起床直後の唾液中のコルチゾール濃度は、ストレスや疲労によって上昇するが、慢性疲労症候群やバーンアウト、あるいは極度の疲労によって減弱する。その一方で起床直後と30分後の唾液中のコルチゾール濃度の差(CAR)は、ストレスや疲労によって増加する。本試験では、唾液中のコルチゾール濃度を、起床直後と30分後に測定している。

また、血清中のDHEA-Sとコルチゾール濃度比は指標としての評価は研究途上ではあるが、これらの代謝物である17‐KS‐Sと17‐OHCSの尿中排泄量の比(尿中17‐KS‐S/17‐OHCS)は疲労を感じているヒトは健常人よりも低値を示すことが報告されている。

本研究の前には、予備調査として、血清亜鉛濃度が低い(77.6μg/dl)の成人男女に対して『ワタナベ活性型オイスター』12粒/日、12週間摂取することで、血清亜鉛濃度が90.3μg/dl(摂取4週間後)、93.5μg/dl(8週間後)、94.8μg/dl(12週間後)と有意に上昇していることが確認されている。

その上で、血清亜鉛濃度が低く、かつ睡眠に問題があり、日ごろから疲労感やストレスを感じている成人男女勤労者を対象に、『ワタナベ活性型オイスター』を8週間連続摂取した場合のストレス、睡眠の質、疲労およびQOLに及ぼす効果を検討した。

今回の被験者は、血清亜鉛濃度が平均66.9μg/dlで、試験前にメディカルスコアによって不眠やストレス状態を測定すると、AIS(アテネ不眠尺度)は13.2、PSQI-j(ピッツバーグ睡眠質問票)の合計得点は8.4であり、睡眠に問題を抱えており、POMS(Profile of Moods States)のT得点は、高ストレス状態であることを示す、プロファイルとなっていた。

これらの被験者に対して、12粒/日の『ワタナベ活性型オイスター』の摂取を8週間継続すると、血清中の亜鉛濃度はほとんど変化しなかったが、セレンは8週間後に約20%上昇した。亜鉛の血中濃度が上昇しなかったのは、低血清亜鉛濃度の今回の対象者では、試験食品から吸収された亜鉛が、それを必要とする組織内に取り込まれ、血中濃度を上昇させるには至らなかった、つまり摂取量が少なかったことが考えられる。

主観的評価については、POMSが評価の目安で「他の訴えと合わせ、専門医を受診させるか否かを判断する」から、8週後に「健常」の範囲にまで改善した。プロファイルも高ストレス状態を示すものから、不安やイライラ感、抑うつ感などのネガティブな感情が低減するとともに、活気が上昇しており、ストレス状態が緩和されていることがうかがえた。

PSQI-jでは試験前8.4と睡眠障害が疑われるレベルであったものが、8週後5.5と睡眠障害判定の区分点である6点を下回っており、被験者の睡眠が健康な状態に改善されたことが明らかとなった。

これらの結果から『ワタナベ活性型オイスター』の摂取によって、睡眠感が改善し、それに伴ってネガティブな心理状態が減退、疲労感が軽減したことが示唆された。

CARについては、試験開始前の起床直後の唾液中コルチゾール濃度は低く、30分後に大きく上昇していたが、8週間摂取後には起床直後のコルチゾール濃度は約1.5倍に上昇しており、『ワタナベ活性型オイスター』の摂取によって勤務日の朝のストレス反応が減弱し、起床時のコルチゾール反応が正常な方向に変化している。
血清DHEA-S/コルチゾール比は試験期間を通じて変化がなかったが、これは被験者の男女比が男4:女13と女性が多かったことから、性ホルモンの周期変動によって、結果が表れにくかった可能性があり、より長い時間での評価の必要性が示唆された。

QOL評価では、睡眠や食欲、家庭生活の幸福感が改善した。
渡辺オイスター研究所では、これらの結果を踏まえ、今後は対照群をおいた二重盲検試験などによって『ワタナベ活性型オイスター』の有効性を、より厳密に検討していく。

本稿で報告した、研究成果をきたる9月23日(木祭日)、JSCAM講習会・サプリメントアドバイザー講座の中で、同社代表取締役・渡辺 貢PhDに発表いただく予定です。



(JHM95号より)
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