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光武産婦人科 光武和彦MD

[ 2010/4/26 ]
産婦人科から肥満外来へ


光武産婦人科 光武和彦MD

出産が病院に移行することで、母体の健康管理が主な診療内容に変化している産婦人科クリニック。しかし、それだけで、クリニック経営が成り立つとは考えづらい。

そこで、健康管理を一歩進めて、肥満治療にまで拡大することで、患者さんにも喜ばれているクリニックがある。しかも、都市部ではなく、佐賀県の地方都市でだ。光武産婦人科の光武和彦院長は、出産を主な診療内容とする産婦人科から、女性の健康をサポートするクリニックに変貌したきっかけについて、「食事法を中心とした減量のお手伝いを始めたのは、1997年にさかのぼります。当時は肥満した妊婦さんや妊娠糖尿病の妊婦さんの食事療法 のご指導をしていました。その中に妊婦さんの母親も肥満した人がいまして、その人の減量のお手伝いをしたのがきっかけで、女性の肥満治療を当院の診療の柱として現在に至っております。肥満治療を始めた当初は、純粋な食事療法だけでしたが、当院の食事法に漢方薬を併用しますと驚く程効果的に減量できることがわかってまいりました。」と語る。
光武産婦人科の漢方療法は、約40種類の漢方薬を、漢方の診断基準『証』に合わせて処方していく本格的なもの。年齢や減量初期と中期では『証』にも変化が出るので、処方も変更されていく。

減量の症例を重ねていくにつれ、次第に遠方から高度肥満の患者の来院も増加し、治療が長期化してくる中で、漢方薬だけでは、到底太刀打ちできない症例も増加してきた。そうした症例に対して、試行錯誤を繰り返すうちに、α‐リポ酸と出会う。

光武院長はα‐リポ酸について、「α-リポ酸は当院の食事法の補助としてなくてはならない存在になっております。その目的は、主にエネルギー代謝の再活性化を期待しています。使用するにあたりましては、各個人の状態を良く観察し、使用開始の時期、容量など慎重に吟味して使用しています。」と語る。

α-リポ酸を導入したことで、治療成績は飛躍的に向上し、2010年3月現在、10kg以上の減量達成者1129名、20kg以上の減量達成者211名、30kg以上の減量達成者34名、40kg以上の減量達成者が5名にもなるという。

肥満治療において、α‐リポ酸に期待する効果はエネルギー代謝の再活性化だが、具体的には、どういうことなのだろう?「エネルギー代謝は細胞内のミトコンドリアでおこなわれています。減量期間が長期間になると発生する停滞期は、その原因の一つとしてこのミトコンドリアの働きが“省エネルギー型”になるのではないかと考えています。この結果、基礎代謝が低下して、同じ食事法をやっていましても体重の減少にストップがかかります。」

一般的に基礎代謝はほぼ体重に比例すると言われており、体重が重いと自動的に基礎代謝が高くなる。ところが、まじめに食事療法に取り組み体重が減ってくると、基礎代謝も減ってくると光武院長。つまり、きちんと食事療法を以前と同じように実践しても、基礎代謝によるエネルギー消費量が減るため、次第にやせにくくなってくる。それに加えて、ミトコンドリアの働きが省エネルギー型になるため、どんな人でも例外なく、停滞期が訪れるのだという。

そうした症例に、α-リポ酸を摂取してもらい、ミトコンドリアの働きを再活性化させ、エネルギー代謝を活性化させ、体重の減り方が鈍った状態から再び体重減少するように仕向けるのだという。
「具体的には、既に10kg以上減量をしていて、さらに減量の必要な人に限って利用していただいています。α-リポ酸と漢方薬との併用は50才以上の方が多いようです。これは閉経後老化の進み具合が早くなるのを感じている人がα-リポ酸の効果を実感しやすいのでしょう。」と光武院長。
50才以上の症例にα‐リポ酸が多いとのことだが、血糖値との関連もみられるのだという。「糖尿病に付随した肥満患者さんは単純な肥満の人より、α-リポ酸の評価が高いですね。ドイツでは数十年前から糖尿病に使われていたことから、DMとは何か良い方向でα-リポ酸は関係ありそうだなと思っています。糖尿病やヘビースモーカーの方には、ビオチンを併用しますと、美肌効果も高くなります。」

実は光武院長、減量の補助として、α‐リポ酸を使い始め、その効果を実感しているが、患者さんの評価は別のところにあるのだという。「α‐リポ酸を使い始めて、患者さんからの第一の好反応は美肌効果です。やはり女性の場合、肌の変化には敏感ですね。肌の張りツヤ、毛穴の黒ずみの縮小、小じわの縮小、肌の黒ずみの低減などが改善されることを臨床的に実感しています。」

肥満治療に、無くてはならないα‐リポ酸だが、光武院長が使用するのは、市販品ではない。「市販品は、α-リポ酸だけでなくビタミンやアミノ酸など、様々な材料が加えられています。これがどうも漢方薬との相性が悪いようなのです。」と、医薬品のチオクト酸アミド(α‐リポ酸の医薬品名)を試したところ、「食事法と漢方薬の組み合わせにピッタリとはまることに気付きました。そこで、より患者さんに利用しやすいように、当院単独のサプリにならないかと考え、思い切って専門のメーカーである立山化成にご相談を持ちかけました。」という。

つまり、光武院長が使用するのは立山化成の製造する、α‐リポ酸のみをハードカプセルに充填しただけのサプリメントなのだ。このサプリメントを、「80mgを一日二回服用していただいています。朝は多めの水で飲みます。夜は夕食後または寝る前に80mgを、やはり多めの水で飲みます。減量成功し、体重の維持の時期では80mgを一日一回に半減させても良いとお話ししています。これは患者さんから教えていただいたのですが、夜は、入浴後に、摂取すると、血行が良い状態でリポ酸が吸収されますので、翌朝、より肌の調子が良いようです。」

光武院長はα‐リポ酸について、「α-リポ酸は多くの患者様の支持があり、現在も当院の治療には欠かせないサプリであります。一度使用された方は長期間持続して利用していただいています。これは今まで使用してきたサプリと明らかに異なる点です。」と絶大な評価を寄せる。

光武院長は肥満の原因の一つが、“老化”と“毒素”の蓄積であると考えている。実際に減量に成功した人は外見も気持ちも10才は若返ったように見えるのだという。「肥満が老化の一種であるという捉え方はあまりされていませんが、減量成功した人が若返った姿になるのを何人も見てきますと、そうではないかなと納得できます。」実際に肥満を改善してきた者でしか、語ることの出来ない貴重な意見といえる。

臨床医でありながら、これだけの理論と、肥満治療の実績には、脱帽せざるをえない。




(JHM92号より)
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