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一般社団法人 JAAS日本アンチエイジング外科学会

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改めて考えるクリニックのメニュー構成 [JHM]

[ 2009/11/24 ]
ここ数ヶ月、老舗アンチエイジングクリニックの移転拡張や、クリニックの新設が相次いでいる。数年前までは、アンチエイジングクリニックといえば、ホルモン補充の専門クリニックと、キレーションの専門クリニックの2種類しかなかった、といっても過言ではない。しかし、近年では、総合アンチエイジングクリニックとして、ホルモン補充やキレーションに加え、高濃度ビタミンC点滴や血液クレンジング、プラセンタなどのカクテル点滴や、EDTAだけではなく、DMSAやDMPSなどの経口キレーション、各種の成長因子を用いたメソセラピーなど、様々なメニュー構成を提供しているクリニックが増加している。また、既存の保険診療にサプリメント外来や点滴外来など、プチ・アンチエイジング的な医療を提供するクリニックや歯科も急増している。こうした中で、本特集では、改めてアンチエイジングクリニックのメニューについて、幅広く見直してみたい。


ホルモン補充療法について、日本では人成長ホルモンを中心とした総合ホルモン補充療法THRTよりも、DHEA補充や男女に対する性ホルモンの補充といった、全体の若返りというよりも、目的意識のはっきりしたホルモン補充が定着している。そうした面から考えると、本紙12面で紹介しているアドレナル・ファティーグは、新たなホルモン補充の1ジャンルとして定着するであろう。
一方で、EDTAキレーションは、高濃度ビタミンC点滴を中心に、点滴療法として定着しつつあり、これも目的のはっきりしたものが主流になっている。
つまりは、完全な予防医学としてのアンチエイジングではなく、治療医学としてアンチエイジング医療の手法を用いているのが、今の日本のアンチエイジングクリニックの姿になりつつある。
患者は病気のためにお金は使うが、健康になるためにお金を使わないと言われている。本来、アンチエイジングは老化を自然な状態として捉えるのではなく、疾病として捉え、QOLの向上を図るものだと認識していたのだが、日本の健康保険制度や老化の捉え方に、欧米との開きがかなりあるように感じられる。
最近、老舗のアンチエイジングクリニックが、続々と移転・拡張を行っているが、そのどれもが治療医学としてのアンチエイジングを行い始めているのが、興味深いところだ。


メニューの方向性

では、それを踏まえて、具体的なメニューについて考えてみたい。例えば高濃度ビタミンC点滴を中心に考えて見ると、ビタミンC点滴は、免疫療法や美容目的に活用することが出来る。ビタミンCの薬理効果をどのように活用するかで、メニューの方向性を決めていく。
免疫療法であれば、温熱療法や血液クレンジング、NKやリンパ球の培養、遺伝子治療、やワクチン療法、免疫系のサプリメントが組み合わせの対象となり、こうした中から、予算や施設の状況に応じて、チョイスすることとなる。
一方で、美容目的のビタミンC点滴の場合、トレチノインやハイドロキノンを用いた療法を組み合わせ、コラーゲンの産生促進を考えるなら、プラセンタやPRP注入、コラーゲンやヒアルロン酸などのサプリメントが組み合わせとなる。
ここで、考えなければならないのは、美容にはライバルが多いということで、美容系のクリニックのみならず、エステティックサロンや通販コスメなど、美容産業全体をライバルとみなし、その隙間を狙っていくことが、重要であろう。
新規にクリニックを拡張するならいざ知らず、保険診療を中心に、アンチエイジング医療を行うのであれば、あまり大型の機器の導入は考えなければならない。


サプリメント外来

機器導入以外で、アンチエイジングに適した医療を考えるときに、はずせないのがサプリメント外来だ。最近では、郊外のクリニックであっても、さほど奇異に見られることはない。
ただ、サプリメントの活用状況は、常に変化している。10年ほど前は、医療機関で使用するサプリメントは、補完代替医療としてキノコ系のサプリメントが、がん治療で用いられるのが主流であり、その後、α‐リポ酸などのデトックスサプリの時代を経て、マルチビタミン・ミネラルがメインになり、現在ではそれに加え、持続性ビタミンCサプリメントの需要が広がっている。
その他では、オーソモレキュラーメディスンに用いられる鉄や幅広く使われている乳酸菌生成エキスなど、流行に左右されず、着実に売れ続けているサプリメントもある。


導入のポイント

ここで、メニューを組むときに、汎用性について考えてみる。例えば、高濃度ビタミンCと組み合わせる温熱療法を考えるとき、大規模なラドンミスト浴の機器などの導入をいきなりは検討しづらい。であれば、インディバのような、部分的な深部加温のできる機器を導入する。
インディバであれば、がんの補完療法にも充分に活用されているし、一方で美容目的にも拡張が可能だ。もともと、海外ではがんの補完医療に使われていた機器だが、日本では医療よりも、美容として定着しているので、患者サイドの理解も早い。
サプリメントも同様だ。こだわって、様々な会社からサプリメントを購入するよりも、ダグラスラボラトリーズのような、多くの目的に活用できるサプリメントサプライヤー一社と親しくしておけば、必要なものは揃う。その上で、他のサプリメントを試すことで、本当に患者に必要なサプリメントが何なのか、明確に判断できるようになる。
インディバやダグラスラボラトリーズなど、他のクリニックにもあって差別化できないとお考えの読者もいるかもしれない。しかし、これらのユーザーにも、多く活用しているものと、そうでないものがいる。ようは、メニューにラインナップされていても、まったく稼動していないというクリニックもある。サプリメントも同様だ。
しっかりとしたコンセプトに基づいて、来院する患者層などを把握した上で、考えたメニュー構成であれば、多くの場合きちんと稼動していく。機器がクリニックを差別化するのではなく、医師が機器を差別化の道具となるよう活用するのだ。
そうした意味で、トピカルな手法の一つに血液クレンジングがある。オゾンを用いて血液を刺激し、それによって放出されるサイトカインによって、様々な効果を得る血液クレンジングは、目新しさもあり、体感もあるアンチエイジングの手法なので、お勧めできる。
痩身メニューがある程度稼動しているクリニックであれば、キャビテーションもお勧めの機器だ。現時点で、あまり出回っていない上に、機器も安価で効果も期待できる。

百花繚乱のメニュー構成では、患者はどこに注目してよいのか分からず、結局は、どれも無駄になってしまう。 改めて、メニュー構成を見直してはいかがだろうか?




(JHM88号より)
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