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脂肪吸引の新たな代替法『キャビテーション』 [JHM]

[ 2009/7/13 ]

久保田潤一郎MD

『キャビテーション』という言葉をご存知であろうか?今、欧米の美容シーンでは、『キャビテーション』が注目を集めている。本来は流体力学で用いられる用語で、簡単に言うと「液体の流れの中で圧力が変化することで、発生する気泡が物体を破壊してしまう現象」。スクリューやポンプなどが破壊される原因の一つとして知られている。その現象がなぜ、美容と結びつくのか?実はこの『キャビテーション』という現象をもちいて、脂肪細胞を破壊し、部分痩せを行う機器が欧州を中心にここ数年で拡大しているのだ。日本でもブレイク必至の『キャビテーション』について、久保田潤一郎MDにお話をうかがった。



流体力学の原理で脂肪細胞膜を破壊


キャビテーション前の脂肪細胞

キャビテーション中の脂肪細胞

キャビテーション後の脂肪細胞



部分痩せは美容外科の大きなテーマで、そのソリューションは、今も昔も脂肪吸引が王道であることは間違いない。
しかし、脂肪吸引については、患者のみならず美容外科医ら自身も、できれば、避けたい手術であり、その代替法が昔から模索されている。
RFや超音波、EMS、メソセラピー、レーザーなど、様々な代替法が検討され、現在でも活用されている。定着したものもあれば、消えてしまったものもある。そうした脂肪吸引代替法の、現在の最新トレンドが『キャビテーション』といえるだろう。先述したように『キャビテーション』とは「液体の流れの中で圧力が変化することで、発生する気泡が物体を破壊してしまう現象」で、美容での『キャビテーション』では、特異的な超音波の周波数を体外から与えて、脂肪細胞中の水分や細胞外の間質液を共鳴させて渦を作り、そこに発生する気泡によって、脂肪細胞の細胞膜を破壊するという技術だ。
これまでの脂肪吸引代替法との最大の違いは、単純に物理的な力のみで、脂肪細胞を破壊することで、その他の方法のように、大なり小なり化学的な反応が介在していない。そういう意味では、脂肪吸引に最も近い方法と言えるかもしれない。
また、これまでの方法の多くは“熱”がキーになっていたが、『キャビテーション』においては、熱を発生させないことが技術の一つとなる。超音波が熱に変換されずに、水分の共鳴と気泡の発生のために体内で変換することが求められている。熱や痛みをなるべく軽減しつつ、脂肪細胞膜を破壊することが、『キャビテーション』機器に求められる機能なのだ。
この『キャビテーション』について、日本でもいち早くクリニックに導入している久保田潤一郎MDにお話を伺った。


ここ数年で欧米で拡大、日本でも美容外科中心に導入進む




ノバシェイプ


いまさら説明するまでも無いが、久保田MDは、美容形成の専門医である一方で、PRP自己多血小板注入療法など、新しい美容の日本への導入に実績をもち、レーザーや超音波、EMS、エレクトロポレーションなど、部分痩せについても、クリニックで積極的に取り組んでいる美容・痩身のスペシャリストだ。
久保田MDは、「数年前から関わってきましたが、本格的にクリニックに導入したのは、今年に入ってからです。キャビテーションは、世界的に見て間違いなく定着する技術。」と評価する。一方で日本で定着するか否かについては、取り組む医師次第と語る。価格設定を安価にしないと、定着しないのでは?というのがその理由だ。
「機器の価格自体もリーズナブルだし、薬剤なども必要とせず、施術自体も非常に楽。腹部など施術部位に塗ったジェルの上を、ハンドピースを滑らせるだけ。正式な方法も習ったが、効果は大して変わらないので、自己流です。欧州では、局麻を入れた水を注入して効果を高め、痛みを和らげる使い方をするようですが、今のところ、その必要性は感じていません。」と、イニシャル・ランニングとも、コストは今の時代にマッチしたものだし、久保田MDは本人が施術するが、クリニックスタッフが行うことができる施術のため、低価格で患者さんに提供することが望ましい。脂肪吸引を元に価格設定をしてしまうと、定着する技術ではない。久保田MDのクリニックでは、脂肪吸引の約1/3の価格で提供している。
同じ部位を一カ月おきに2回が、基本的な施術のコースだ。「2回の施術でほとんどの患者さんが満足しています。」と語る。単独でもOKだが、エレクトロポレーションやEMSと組み合わせることで、さらに良い結果を得ることも可能なのだという。将来的には『Ilipo(アイリポ)』という低出力のレーザーの併用も視野に入れている。
アイリポはミトコンドリアを標的とするレーザーで照射によって細胞膜の透過性を変化させ、脂肪細胞からTGや脂肪酸、グリセロールを間質液中に放出させることを目的としている。通常のレーザーと違い、数分間パッドを施術部位に装着して使用する。
いずれにしても『キャビテーション』は久保田MDのクリニックで、効果としては脂肪吸引に次ぐ、部分痩せのメインメニューとなっており、他のアプローチと一線を画していることは、間違いないようだ。
取り組みが早かっただけに、久保田MDは多くの機器を比較検討しているが、現在使用しているのは、スイスのULTRA MED社製の『NOVASHAPE』という機器。
この機器の最大の特徴は施術するヘッドの冷却機能が充実していること。特別な禁忌のない『キャビテーション』だが、唯一のリスクは熱傷。脂肪組織は、密度や深度、形状など個人差が大きいため、出力を調整し、対象となる脂肪をうまく共鳴させなければならないが、出力を誤ると多少なりとも火傷のリスクはある。『NOVASHAPE』は、冷却ヘッドで熱による影響を抑えつつ、高出力で脂肪細胞膜を破壊することができるため、その効果が高いのだという。
美容外科の専門家ほど、積極的に購入しているといわれている『キャビテーション』、ぜひ、体感してみることをお勧めする。
ご興味のある方は編集部(03-6222-3121までお問い合わせください。




(JHM86号より)
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