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[JHM] 医療機関でのサプリメント活用の実際

[ 2008/9/13 ]


アンチエイジング医療で、サプリメントをどのように活用すればいいのか?臨床に使用しようと考えても、実際には中々踏み切れないものだ。エビデンスの充実を待ち続けても、食品である限りは、医薬品ほどのエビデンスは整わない。いずれかの時点で、使うか・使わないかの決断が必要となる。ここでは、眼科を例にとって、医師がどのような思いで、どんなサプリメントを、実際にどのように使っているのかを紹介してみる。




アスタキサンチンというサプリメント素材がある。眼科のクリニックでは、比較的良く知られた素材だ。北海道大学眼科の大野 重昭教授らが、日本臨床眼科学会などを通じて、基礎や臨床のデータを発表してきたこともあり、アスタキサンチンを主剤としたサプリメント富士化学工業の『アスタリールACT』は、150を越える医療機関で取り扱われている。
田園調布眼科の石川まり子MDも、そうしたアスタキサンチン支持者の1人だ。ただ、アスタキサンチンを最初から無条件で認めたわけではない。
長く眼科診療に携わる石川MD、これまでの眼科診療について、近視を疾病として捉えておらず、単純に眼鏡やコンタクトを処方することで、もしかすると眼科医が近視を増加させてしまったのではないか?との疑問を持つ。
そのきっかけとなるのが、『通電治療』と呼ばれる調節痙攣(仮性近視)や眼精疲労を改善する治療法を大学勤務やクリニック勤務の傍ら、研究していたことによる。
この治療法は、調節痙攣や老眼により、視力が低下してきた患者に対して、眼鏡やコンタクトを使う前に、一つの選択肢として、保険外の診療として提供される。近視を疾病として捉え、それに対する治療だ。
視力悪化の原因は、1近くを見続けること、2見えないものをがんばって見続けてしまうこと。この2つによって、水晶体の厚みをコントロールする筋肉が疲労し、調節痙攣や眼精疲労といった症状を引き起こす。
『通電治療』は、この筋肉の疲労を、電気的な刺激で改善する試みだ。実際、視力悪化の初期から、慢性的な眼精疲労まで、多くの患者さんが改善している。
一方で、近くや見えないものを見続けるという、生活習慣を矯正するというのも、調節痙攣や眼精疲労を悪化させないために重要だ。
そのため、ゲームは1日何時間か?教室では何番目に座っているか?PC作業があるか?など生活に関する問診は欠かすことができない。
その上で、勉強や仕事で机上の作業をするとき、姿勢を保つため、「机の前に垂直なバリアを意識して」など、実践的な生活指導を行なう。そのため、問診や生活指導にかかる時間は相当なものだ。
医者として患者に喜ばれたいという気持ちから、インフォームドコンセントに妥協は無い。そうした姿勢は、やはり医師だったご両親の診療を見てきたからなのだという。医療で今問題となっている5分ルールなど、請求すれば全てに適用できそうだが、請求したこともないという。
そうしたインフォームドコンセントの過程で、お金をかけてでも、何か体にいいものをと思っている患者さんや、VDTなど、近接作業をしているような人に対して、アスタキサンチンを薦めている。
また、コンタクトなどの検眼では2〜30代の眼精疲労の患者さんも多い。多くは必要以上に強い矯正で、より毛様体を疲れさせているケースが多く、そうした患者に適正な矯正の処方箋を出すとともに、アスタキサンチンのサンプルを渡す。体感するとリピーターになるのだという。
しかし、本当は全ての患者さんに薦めたいと、石川MDは語る。自信を持って患者さんにアスタキサンチンを薦める石川MDだが、当然それまでにも、多くのサプリメントを試している。中でもアスタキサンチンを評価する理由を伺うと、「もともとサプリメントに関心は薄かったが、アンチエイジングに興味があったことから、アスタキサンチンを試してみました。引越し作業などで、筋肉痛が無いなど、他とは違う体感がありました。また、主人も、ゴルフのプレー後の疲れ方が全く違うと評価したことで、自信を持って患者さんに薦められます。」と話してくれた。
調節痙攣も眼精疲労も、元は筋肉の疲労。「筋肉を制するものは疲労を制す」のだという。そのためにはアスタキサンチンが、優れていると感じたのだという。当然ながら、先述した大野教授らの基礎や臨床におけるデータの確かさが、大前提ではある。
患者さんのライフスタイルまでを考慮した、きめ細やかな生活習慣指導や、『通電治療』、アスタキサンチンなどの独自性で、特別な宣伝を行なっていないにもかかわらず、クチコミで田園調布眼科の待合室は、今日も患者さんが後を絶たない。

田園調布眼科 石川まり子MD



(JHM77号より)
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