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高濃度ビタミンC点滴普及進む③

[ 2008/3/11 ]

グルタチオンやマイヤーズ・カクテル点滴も代替医療で活用


高濃度ビタミンCの点滴療法は、2005年にアメリカのNIH(国立衛生研究所)とNCI(国立ガンセンター)、FDA(食品薬品局)が高濃度のビタミンCを点滴することで、がん細胞を選択的に攻撃するという基礎研究をアメリカ科学アカデミー紀要に発表し、注目を集めた。
 この発表によると、ビタミンCは、ヒトの体内で酸化されることで抗酸化作用を発揮するが、その際に大量の過酸化水素を生じるのだという。ビタミンCが発生する過酸化水素は、正常な細胞では酵素によって分解されるが、がん細胞は過酸化水素を中和できず死滅するのだという。
 また、この発表では、ウイルスによる感染症の治療に対しても有効であると報告されている。
05年の発表の後、実際に各種のがん患者に対して、抗がん剤との併用などで、腎臓がん、膀胱がん、悪性リンパ腫、卵巣がんなどに対しての症例報告がなされている。
そして現在、米国では、点滴1000ccに対しビタミンCを60g、その他各種ビタミン、ミネラル、α-リポ酸などを用いた点滴療法が、多くのがん患者に行われているのだという。
日本国内でも、高濃度ビタミンC点滴は、がん患者への補助的な治療として、多くのクリニックが導入を始めている。
この高濃度ビタミンC点滴はさらに今年から、NIHの認可を得て、トーマス・ジェファーソン大学病院附属キンメル癌センターで、スタンダードな化学療法が無効な、非ホジキン悪性リンパ腫患者20例に対して、週3回の実施で、進行の抑制を見る研究を開始することが決まっている。
また、東海大学でも非ホジキンリンパ腫の再発例で高濃度ビタミンC療法が治験認可され開始されるとの情報もある。
こうした点滴療法を日本に積極的に導入しているのが、杏林大学の柳澤 厚生MDが会長を務める、点滴療法研究会だ。この研究会は高濃度ビタミンC点滴をはじめとし、キレーションやグルタチオン点滴、マイヤーズカクテルなど、新しい点滴の情報発信を積極的に行なっている。
グルタチオン点滴は、抗酸化だけでなく、南フロリダ大学ではパーキンソン病の治療に用いられており、マイヤーズ・カクテル点滴療法は、米国の代替医療で、インフルエンザや感冒症候群、慢性疲労症候群や片頭痛、喘息やうつ病、アスリートの運動能力向上のためにも活用されている。
同研究会には、JSCAM日本臨床抗老化医学会の伊藤 壱裕MDや斉藤 糧三MD、日比野 佐和子MDなども、ボードメンバーに名を連ねている。
 同研究会はセミナー活動などを通じて、情報発信を行なっているが、JSCAM日本臨床抗老化医学会の認定医講習会でも、連動した講習を行なう予定だ。
 点滴療法は、プラセンタやEDTA・ALAキレーションに加え、今後のアンチエイジング医療のメニューの中核を成して行くと思われる。アンチエイジングを志す医師には見逃せない技術といえる。

 

 

(JHM 第71号より)

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