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アンチエイジングEBMファイル-マルチ機能のアミノ酸

[ 2007/9/10 ]

マルチ機能のアミノ酸
「オルニチン」(協和発酵工業)の疲労、肌質改善に及ぼす影響


(試験の背景)
アミノ酸は、普通タンパク質の構成成分として存在している。そのようなタンパク質を構成できるアミノ酸であっても一部は遊離した状態で存在していることが知られている。これら遊離のアミノ酸は、細胞内や血中を巡って必要なときにすぐに働けるように準備するが、オルニチンは、全てがタンパク質を構成しない遊離アミノ酸として体内に存在している。アミノ酸の中では変わり種といえるだろう。 
オルニチンは、摂取されると、腸で吸収され、肝臓や腎臓、筋肉に移行することが知られており、主に肝臓に存在しているオルニチン回路という、有害なアンモニアを代謝する経路に関係していることでもよくその名前を知られている。また、オルニチンは、タンパク質の合成を促進し筋肉作りに役立つなどの作用があることもわかっている。
こうしたことから、オルニチンの機能研究はこれからもまだ発展していく可能性があり、研究の進歩により、他にも多彩な機能が解明されることが期待されている。
オルニチンは、アメリカでは少し前からサプリメントとして親しまれている。私たちが食べている食品にもオルニチンは含まれており、しじみはその代表的な食品と言える。 
また、オルニチンは成長ホルモンの分泌を促進することが知られている。成長ホルモンは筋肉にタンパク質を定着させる働きをもっていることから、オルニチンは効率よい筋肉づくりに役立つことになる。さらに20030歳代を過ぎると成長ホルモンの分泌は減少していくと言われ、オルニチンの摂取でこうした加齢による成長ホルモンの分泌低下を補えることも考えられる。
そこで、本試験では、こうしたマルチ機能をもつオルニチンの有効性を、疲労と肌質改善に焦点を絞って検証してみた。

(試験デザイン)
45〜65歳の健康な男女のボランティアの方14名を2つのグループに分け、(1)1つのグループの方には、オルニチンを含む錠剤(オルニチンとして1日当り800㎎)、(2)もう1つのグループの方には、プラセボを、3週間摂取していてもらった。
各グループのボランティアの方は、自分がどちらを摂取しているのかはわからない、いわゆるブラインド試験とした。試験開始前と試験開始後に調査を行い、調査前にくらべてどのくらい自覚症状が改善しているかを確認した。
なお、ボランティアの方には、この試験への参加にあたり、試験の主旨や内容を十分に説明し、同意を得た。

(調査方法)
各質問項目に対して、10㎝の線上に、現在の自分の自覚症状はこのくらいである、という部分にチェックをつけてもらった。例えば(図2)のようなものである。

(算出法)
これを摂取前(調査①)、3週間摂取後(調査②)に行ない、その差を摂取による改善率として算出した。改善率の値が大きいほど、正常(気にならない、症状を感じない)であるという事になる。このような調査法は、同じ個人の主観の変化(改善率)を評価するのに適した方法として広く使われている。

(結果)
調査結果については、各項目で、オルニチンを摂取した方と、プラセボを摂取した方の改善率をグラフで表示した。このような調査では一般にプラセボ効果といわれるような心理的な効果から、プラセボを摂取したでも症状が改善されることがよくある。 
このプラセボ効果分を差し引いた改善率の差を、オルニチンの効果と捉えることができる。

(疲労改善作用について)
疲労については、グラフにある通り、「眠気とだるさに関する項目」「注意集中の困難に関する項目」の計15項目の改善についての調査を行なった。全ての項目でオルニチンの改善作用が見られ、特に「考えがまとまらない」という項目では高い改善効果が見られた。オルニチンの疲労改善効果についてはこの試験で初めて確認され、オルニチンの広い作用が改めて確認された。
肌質改善作用について

(肌質に関する自覚症状)
グラフに示されている項目についてオルニチン摂取で改善効果が見られた。特に、「顔のしわ」「顔のはり」「顔色」では大きな改善率が見られ、この結果からオルニチンの美容効果が期待できる。オルニチンに美容効果あるという新たな発見は、非常に興味深い結果となった。

(その他の日常生活の自覚症状について)
日常生活で感じる体調についても調査を行なったが、この中で「手足の冷えの改善」や「就寝時の寝つき」「朝の目覚め」について、改善傾向がみられる事が確認された。
このように、オルニチンは多彩なマルチ機能をもつ事が当社の試験により改めて確認された。しかし、オルニチンについてはまだまだ研究途中。さらに新しい機能が発見される可能性もある。これからも研究が続けられ、その機能が解明されていくものと思われる。

(Jaam5号から抜粋)
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